第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター発表(I-P1-4)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 I

2022年7月21日(木) 14:00 〜 15:00 ポスター会場

座長:澤田 博文(三重大学大学院 小児科)
座長:星野 健司(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

[I-P1-4-07] 先天性心疾患術後のダウン症候群患児における肺動脈性肺高血圧症の転帰

山本 嵩, 河合 駿, 川田 愛子, 志水 利之, 若宮 卓也, 中野 裕介, 渡辺 重朗 (横浜市立大学附属病院 小児科)

キーワード:肺高血圧症, ダウン症候群, 心内修復術

【背景】ダウン症候群(DS)では先天性心疾患(CHD)による左右短絡で容易に肺動脈性肺高血圧(PAH)となることが知られている。一般には心内修復術を行えばPAHは改善するが、術後に増悪する症例も散見し遠隔期の管理方法は確立していない。【目的】CHD術後のDS患児のPAHの経過を明らかにすること。【方法】2009年から2020年に当院でCHDに対して心内修復術を行ったDS患児33名を対象とした。PAHの定義は術後心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧(mPAP)20mmHg以上且つ肺血管抵抗値(Rp) 3.0wood unit/m2以上とした。診療録より後方視的に臨床背景、心臓カテーテル検査、治療経過を検討した。【結果】観察期間は中央値4.3年(2.0-14.6)、CHD診断名は心室中隔欠損14名、心房中隔欠損3名、動脈管開存症1名、房室中隔欠損11名、その他3名で、25例に肺動脈絞扼術を先行している。心内修復術施行月齢は中央値10.4(1.2-77.2)であった。心内修復術前肺体血流比は中央値1.4(0.6-2.9)、mPAPは中央値21mmHg(16-42)、Rpは中央値2.6 wood unit(1.4-7.2)で19名(58%)が術前よりPAHを認めた。術後にも心臓カテーテル検査を実施しているのは17名で、mPAP 中央値18mmHg(12-36)、Rp 2.6wood unit(0.9-7.3)で6名(18%)が術後PAHと診断され、2名は術前よりも増悪していた。5名が抗PAH薬を導入された。抗PAH薬内服期間の中央値は4.8年(0.8-5.4)で4名が抗PAH治療を終了することができたが1名は継続的な治療を必要とした。【結論】DS患児では心内修復術後もPAHが進行する症例がおり遠隔期も評価を継続する必要がある。