[I-P1-6-01] 先天性心疾患を有する18トリソミーにおける在宅医療移行にむけた姑息手術の成績
キーワード:18トリソミー, 姑息手術, 肺動脈絞扼術
【背景・目的】当院では先天性心疾患を有する18トリソミーにおいて姑息手術により在宅医療への移行の可能性が見込まれ,ご家族から積極的な手術希望がある場合は,姑息手術を行う方針としてきた.その手術成績について後方視的に検討したので報告する.【対象・方法】2006年1月~2021年12月まで姑息手術を施行した18トリソミー14例を対象とした.男児4例,女児10例,在胎週数38週0日(36週5日-40週0日),出生前診断または疑い9例,出生体重1763(1485-1947)gであった.心疾患はVSD12例,DORV1例,Truncus1例で全て高肺血流の血行動態であり,動脈管は12例で開存,2例で自然閉鎖した.消化器合併奇形は食道閉鎖3例,鎖肛1例であり,姑息手術に先行して手術を施行した.術前人工呼吸管理は12例(挿管10例,CPAP2例),N2療法は2例に併用した.手術日齢28(19-51)日,手術体重1693(1354-1924)gであった.【結果】mPAB+PDA結紮術13例,Truncus1例で両側PABを施行した.アプローチは左側開胸5例,胸骨正中切開9例.mPAB周径(mm)は(BW+22.5)1例,(BW+22)2例,(BW+21)2例,(BW+20.5)2例,(BW+20)3例,(BW+18)3例,最終mPAB流速3.1(3.0-3.5)m/sであった.早期成績は,手術死亡なし,在院死亡2例(壊死性腸炎,重度低血糖),人工呼吸器離脱10例(71.4%)で,1例で気管切開術を必要とした.在宅医療移行11例(78.5%)であり,HOT導入9例,在宅CPAP併用3例であった.遠隔成績は1例のみ追跡不能であったが,在宅移行11例中,5例が生存,6例が死亡(無呼吸5例,肺出血1例),生存1例で他院にて心内根治術を施行した.全生存日数は298(153-1428)日であり,Kaplan-Meier法による6ヶ月,1年生存率は69.2%,50.5%であった.【結語】18トリソミーは予後不良の疾患であるが,当科における姑息手術による在宅医療移行率は約80%と概ね良好であった.症例毎に重症度や合併疾患が異なるため,小児科やコメディカルの協力に加えて両親の希望など考慮した治療方針の選定が重要である.