[I-P1-6-02] 術後6年目に心房間交通を閉鎖した新生児期Cone手術の1例
キーワード:Cone手術, Ebstein病, 新生児
【背景と目的】Ebstein病に対する新生児期Cone手術の報告は未だ少なく、術後の三尖弁や右房化右室の経時的変化の情報はほとんど無い。我々は過去に新生児期Cone手術と術後1年の経過を報告した。今回同症例が術後6年目に心房間交通を閉鎖するに至り、心臓MRI等の精査をおこなったので、手術所見と共に報告する。【症例】患者は年齢6歳、体重21kg。初回手術は日齢14にCone手術を施行した。右心不全に備えて3mmの心房間交通を作成したが血流は両方向性であった。術後経過は良好で、フォロー期間中TRはmild-moderate以下で経過した。右心不全はないが形態的にIVC returnが心房間交通に直接流入しSpO2:90%台前半であった。心房間交通は下縁が退縮して拡大したためdevice closureは不適となり外科的閉鎖の依頼となった。【検査と手術所見】心エコーではConeの先端と冠状静脈洞方向からTR mild認め、中隔側右房化右室の奇異性運動は消失していた。心臓カテーテル検査ではQp/Qs=0.9、RVP=18/6mmHg、CVP=6mmHg、LAP=6mmHgであった。心臓MRIではLVEDVI=68.1ml/m2、RVEDVI=79.4ml/m2、TR=8.2%であった。血液検査ではBNP=32pg/mlであった。手術所見では弁尖の肥厚なく、中隔尖は可動性不良で、Cone先端は観察困難であった。手術は三尖弁には介入せずASDパッチ閉鎖のみを行った。【考察】初回手術以降TRは制御されており進行はない。しかしCone先端のTRは前尖長の不足が危惧され、前尖の成長を含めて今後も慎重な観察を要する。右房化右室の奇異性運動はフォロー期間中経時的に改善し正常化している。右心機能改善に早期の手術介入が奏効したと考える。