第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

自律神経・神経体液因子・心肺機能

一般口演20(II-OR20)
自律神経・神経体液因子・心肺機能

2022年7月22日(金) 17:50 〜 18:40 第6会場 (小ホール)

座長:栗嶋 クララ(厚生労働省)
座長:高橋 健(順天堂大学附属浦安病院 小児科)

[II-OR20-01] Fontan術後患者におけるβ遮断薬内服の運動へ及ぼす効果

杉谷 雄一郎1, 宗内 淳1, 江崎 大起1, 山田 洸夢1, 小林 優1, 渡邉 まみ江1, 城尾 邦彦2, 落合 由恵2 (1.JCHO九州病院 小児科, 2.JCHO九州病院 心臓血管外科)

キーワード:心肺運動負荷試験, 心拍予備能, 運動耐用能

【目的】Fontan術後の肺駆動心室欠如から生じる運動耐容能低下は循環キャパシタンス低下から生じる運動時の心拍出量増加への適応不全と心拍応答低下の双方が影響する。慢性心不全治療薬として使用されるβ遮断薬がFontan術後患者の運動耐容能への影響を検討する。【方法】Fontan術後患者46例(計52回)に心肺運動負荷試験を実施した。β遮断薬内服群と非内服群の2群間で最大心拍数、心拍予備能、最大酸素摂取量, 最大酸素脈を評価し、β遮断薬内服の有無で比較した。【結果】検査時年齢16.5歳(9.5─23.4)、Fontan術後13.1年(6.0─19.1)だった。β遮断薬内服群N=13例(カルベジロール6例、ビソプロロール3例、カルテオロール2例、アテノロール2例、プロプラノロール1例)であった。両群間において年齢、体表面積、性別に有意差はなかった。β遮断薬内服群は非内服群と比較して、最大心拍数が低く[148 (125─153) vs 163 (151─174) bpm、P<0.001]、最大酸素脈が高かったが[9.1(7.0─12) vs 5.7 (4.8─7.8) ml/beat、P=0.004]、最大酸素摂取量[26(22─29) vs 29 (24─33)ml/kg/min、P=0.25]や心拍予備能[63(42─71) vs 75 (60─81) bpm、P=0.06]には有意差はなかった。【結論】Fontan術後患者ではβ遮断薬内服により運動時最大心拍数が低下するが、心拍予備能保持と最大酸素脈増加(一回拍出量増加)のため運動耐容能そのものは維持された。