第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表

画像診断

ポスター発表(II-P4-2)
画像診断 III

2022年7月22日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場

座長:唐澤 賢祐(唐澤医院 / 日本大学 小児科)
座長:東 浩二(千葉県こども病院 循環器内科)

[II-P4-2-08] Fontan患者における肝エラストグラフィーの有用性

土井 悠司1, 上田 和利1, 荻野 佳代1, 林 知宏1, 小坂田 晧平2, 大家 理伸2, 福 康志2, 萱原 隆久3, 高畠 弘行3, 守本 洋一3, 脇 研自1 (1.倉敷中央病院小児科, 2.倉敷中央病院循環器内科, 3.倉敷中央病院消化器内科)

キーワード:FALD, Liver elastography, SWE

【背景】Fontan associated liver disease(FALD)は非常に重要なFontan長期合併症のひとつである。近年肝エラストグラフィーが肝線維化の評価手段として各種疾患で活用されているが、FALD評価における有用性は一定の見解を得ていない。【目的&方法】当院にてCannon社のAplio i800, i700, 500を用いてFontan患者に施行したShear Wave Elastography(SWE)の有用性を評価した。SWEのFontan到達からの経過時間との相関、同一患者内での推移、血行動態指標(CVP, mean PAP, Rp)との相関を検討。腹部エコーでのSpace occupying lesion(SOL)陽性群と陰性群とに分けてSWEの差も検討した。【結果】58名に延べ106件SWEを施行、Fontan到達時年齢=3.1(range; 1.2~13.6)歳、最終観察時の年齢=20.4±8.3歳(Fontanからの年数=16.7±7.7年)。観察中にSOL陽性となったのは34名(57.1%)。全検査のSWE=2.14(1.48-3.80)m/s, Fontan到達からの経年=16.1±6.6年でr=-0.264 (p=0.006)。2回以上SWEを施行した33名における前後比較ではpre SWE=2.14(1.52-3.80) m/s vs post SWE=2.04(1.54-3.36) m/s, p=0.184, 観察間隔=2.3(0.5-6.6)年であった。SWE施行前後1か月以内にカテーテル検査を施行した症例は13例。SWE=2.15±0.42 m/s, CVP=12.0 (3-14) mmHg, Mean PAP=9.9±3.1 mmHg, Rp=1.26±0.43 Wood units/m2で、SWEとの相関性は各々r=-0.041(p=0.895), -0.210(p=0.492), -0.328(p=0.273)。SOLの有無によるSWEの比較検討では陽性群=2.15±0.41m/s vs陰性群=2.14±0.37m/s, p=0.947であった。【考察】Fontan患者のSWEは一般的な基準値(1.6m/s以下)より高値であったが、経年変化、血行動態指標との相関等で有意な結果を認めなかった。FALDでは線維化のみならずうっ血の影響が大きいこともSWEに影響している可能性がある。【結語】SWEはFontan患者において一定の傾向を示さなかった。FALD評価にどのように活用できるかはさらなる検討が必要である。