第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

肺動脈性肺高血圧症評価

一般口演(I-OR02)
肺動脈性肺高血圧症評価

2023年7月6日(木) 10:10 〜 11:10 第6会場 (G301)

座長:土井 庄三郎(国立医療保健大学), 座長:石井 卓(東京医科歯科大学小児科)

[I-OR02-05] 我が国における小児特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧症(IPAH/HPAH)患者の治療の現状;Japan PH Registry (JAPHR)

細川 奨1, 石井 卓1, 永井 礼子2, 内田 敬子3, 石田 秀和4, 小垣 滋豊5, 山岸 敬幸3, 土井 庄三郎1,6 (1.東京医科歯科大学小児科, 2.北海道大学小児科, 3.慶應義塾大学小児科, 4.大阪大学小児科, 5.大阪急性期・総合医療センター小児科, 6.国立災害医療センター小児科)

キーワード:Japan PH Registry (JAPHR), 小児IPAH/HPAH, リアルワールドデータ

【背景】肺動脈性肺高血圧症は極めて予後不良の難治性疾患であるが、特異的治療薬の進歩により成人・小児ともにその予後は改善している。しかしながら、わが国の小児IPAH/HPAH患者について十分な検討がなされていないのが現状である。【目的・方法】小児IPAH/HPAH患者の国内データの収集と共有を行う体制を整備し、(1)生存率、(2)現状の薬物治療、(3)予後予測因子、(4)成人患者との臨床像・治療効果の相違の検討などを最終の目標とする。2020年4月より、JAPHRに18歳未満の小児例の登録が開始された。本研究はJAPHRを用いた多施設・前向き症例登録研究で、治療内容に介入を行わない観察研究である。【結果】小児肺高血圧症の先進治療施設11施設に登録を依頼、開始している。2023年2月時点で6施設から28例の登録がなされている(現在JAPHRにこれらの症例に関するデータ提供を申請中であり、本学術集会では初診時データやその治療実態を提示する予定である)。また日本小児循環器学会による小児期発症心疾患実態調査では、毎年30例前後の新規患者報告がなされている一方で、報告施設数は過去3年で約50施設であった。【結論】小児IPAH/HPAH症例のレジストリ研究が進行中である。JAPHR1+5群全体では2023年2月時点で1143例の登録があるが、このうち小児IPAH/HPAH患者の登録は30例に満たない。また施設あたりの年間報告数が非常に少なく、その後の治療実態も把握しにくいのが現状である。このことからリアルワールドデータの集積のために、できるだけ多くの症例をJAPHRへ登録することが望ましく、さらなる診療施設の登録参加をお願いしたい。本研究により、我が国の小児IPAH/HPAH患者の現状が明らかとなり、海外へその結果を発信できることを期待する。