[I-OR07-02] 複雑先天性心疾患術後患者における心拍変動の概日リズム
キーワード:心拍変動, 概日リズム, 複雑先天性心疾患
【背景】近年、心不全の状態評価や予後予測に心拍変動解析の有用性が示されている。心拍変動は概日リズムと呼ばれる大きな日内変動を持ち変化し、その特徴を定量化するために、正弦波を近似させる方法が報告されているが、複雑先天性心疾患術後患者におけるこれらの解析の報告はない。【目的】複雑先天性心疾患術後患者の心拍変動の概日リズムの特徴を明らかにすること。【方法】対象はファロー四徴症心内修復術後:T群17例、Fontan術後:F群21例と健常者:N群 28例。小型心電計AC-301A (GMS Co., Ldt. Tokyo, Japan)を24時間装着し、得られた心拍データから心拍変動解析を行った。周波数解析により交感神経と副交感神経のバランスの指標となるLF/HF比を、時間領域解析はRR間隔の差の2乗の平均値の平方根であり、迷走神経緊張強度の指標となるRMSSD(ms)を求めた。LF/HFとRMMSDの24時間のデータを正弦波に近似させ、睡眠時間外にRMSSDの陽性ピーク値もしくはLF/HFの陰性ピーク値を認めたものを、概日リズム異常群(異常CR群)、それ以外を正常CR群とした。各群において、心拍変動を解析し、RMSSDの睡眠時値、正弦波に近似したときの振幅及び各ピーク値のタイミングを求めた。【結果】N群では28人中5人の、T群では17人中10人の、F群では17人中5人が概日リズム異常群に分類された。睡眠中RMSSDは、異常CR-T群が正常CR-N群より優位に低かった。異常CR-T群及び異常CR-F群は正常CR-N群に対して陽性ピークが遅く、異常CR-T群は正常CR-N群に比較して陰性ピークが遅かった。正弦波の振幅に有意差は認めなかった。【結論】心拍変動の概日リズム評価は複雑先天性心疾患の自律神経機能の特徴を表す指標になる可能性がある。今後さらに症例数を増やして検討を重ねる必要がある。