[I-OR10-01] 大動脈弓部縮窄/低形成に対するAndraStent®留置術の有効性と安全性
キーワード:大動脈縮窄, ステント留置術, 成人先天性心疾患
【背景】大動脈峡部縮窄に対するバルーン拡張型ステント留置術は,成人の体格まで再拡大可能なら確立されている。しかし,大動脈弓部縮窄/低形成の場合は病変の屈曲や頭頸部動脈の起始などの制限があり,PalmazStent®では対応困難である。コバルト・クロム性のAndraStent®はopen cellとclosed cellが交互配列のハイブリッド構造で,柔軟性と強い支持力を併せ持つので弓部病変にも対応可能と思われるが,その報告はない。【方法】大動脈弓部縮窄/低形成の3症例(年齢14-29歳,体重34-80kg,女性1例)における様々な屈曲形態の弓部病変に倫理委員会承認後に個人輸入したAndraStent®XXL 39mm長をBIB 16-18mm/3.5cmにリマウントして留置し,参照血管径と同径のZ-MEDⅡ 16-20mm/3cmでステント前方から後方まで順々に後拡張した。その急性効果と安全性に関して検討した。【結果】3病変の詳細:病変は未介入 1,術後 2;病変部位は弓部のみ 1,弓部から峡部 2;形態は左鎖骨下動脈起始部を含む長い屈曲 1(2 Stentsを留置,鎖骨下動脈起始部のside cell dilationも施行),急峻なゴシック型 1,長いS字状 1;弓部最小径は9.0-11.2mm,峡部最小径は7.5-9.6mm,参照血管径は16-20mm。ステント留置後3病変とも滑らかな弓状形態となり,弓部と峡部の最小径はそれぞれ14.2-19.0mmと14.8-19.0mmへ拡大され,病変部圧較差は20-30mmHgから0-2mmHgへ改善した。ステントの移動や脳梗塞などの合併症は認められなかった。【結論】AndraStentは強い支持力と柔軟性があり,かつside cell dilationも可能であるので,頭頸部動脈起始部を含む様々な屈曲形態の弓部縮窄/低形成病変に適合する。遠隔期成績は出てないが,本国への導入が望まれる。