一般口演（I-OR14）
川崎病

[I-OR14-04] 成人期川崎病冠動脈バイパス手術患者の背景と手術成績

^○津田 悦子¹, 北川 哲也², 隈丸 拓³, 本村 昇⁴, 三谷 義英⁵ (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 2.四国中央病院 心臓血管外科, 3.東京大学大学院医学系研究科 医療品質評価学講座, 4.東邦大学大学医療センター佐倉病院 心臓血管外科, 5.三重大学大学院医学系研究科 小児科)

キーワード：川崎病, 冠動脈バイパス手術, 冠危険因子

5歳未満に好発する川崎病による冠動脈障害は、経年的に進行し、加齢による冠動脈危険因子が加わることにより動脈硬化が進展する。従来の川崎病冠動脈障害を背景とした冠動脈バイパス手術 (CABG)成績の報告は、小児期、思春期を対象としており、成人期を対象とした報告はなかった。（目的）成人期のCABG患者の背景、手術成績を明らかにする。（方法）National Clinical Databaseから2008年から2019年の12年間の国内の川崎病による冠動脈障害に対してCABG術が施行された患者を抽出し、患者背景と手術結果について検討した。（結果）343人で、手術時年齢は、中央値39歳(13-72)[5%-95%]、BMIは中央値22.9 (17.2-30.9)で、BMI>26は22%であった。喫煙歴は36%にあり、現在喫煙 13%、冠血管危険因子として、脂質異常37%、高血圧32%、糖尿病 10%、腎機能障害 6%であった。心臓外の血管病変6％、CABG既往5％、PCI既往15％であった。心筋梗塞既往19%、致死性不整脈既往3.5%で、NYHA I 34%、II 26%、III 7%、IV 5%であった。心原性ショック3%、術前の補助循環(IABP・PCPS)使用は10%であった。左室機能低下は6%にみられた。待機的手術 90%で、緊急手術 10%で、大動脈弁、僧帽弁に対する手術はそれぞれ9人、10人であった。オフポンプ手術は147人(43%)で、手術合併症16%、再手術１％、院内死亡3人(0.8%)であった。（まとめ）成人期CABG患者において、冠血管危険因子は約30％にみられた。緊急手術は10％であり、手術成績は良好であった。