第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

集中治療

ポスター発表(I-P04-1)
集中治療2

2023年7月6日(木) 14:30 〜 15:20 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:渕上 泰(岐阜県総合医療センター 小児心臓外科)

[I-P04-1-04] 脳動静脈奇形破裂にたこつぼ型心筋症を合併した8歳女児

西田 圭吾, 橋 美香, 竹田 義克 (石川県立中央病院 小児内科)

キーワード:たこつぼ型心筋症, 脳動静脈奇形, 心血管作動薬

[はじめに] たこつぼ型心筋症は精神的または身体的ストレスにより誘発されうる特徴的な収縮障害を示す心筋症である。小児のたこつぼ型心筋症の原因疾患として脳動静脈奇形による出血などの脳血管障害が挙げられる。 [症例]生来健康な8歳女児。発症当日、登校後授業中に机に突っ伏し、頭痛、嘔吐を来した。脱力のため歩行不能となったため、救急要請となった。救急隊接触時、意識障害はなくバイタルは安定していた。搬送先での頭部CTで小脳出血を指摘され、当院脳神経外科へ紹介となった。脳動静脈奇形からの出血と診断され、入院、手術の方針となった。当院来院時の12誘導心電図では洞調律でST変化はなかった。胸部レントゲン写真ではCTR 56%と軽度心拡大があった。心エコー図検査は行われていなかった。手術待機のため集中治療室への移動中、突然、酸素化不良を来し、除脳硬直、瞳孔不同が出現し、頭蓋内の再出血が疑われた。緊急気管挿管となった際に気管から淡赤色泡沫痰があふれたことから、神経原性肺水腫と判断された。緊急で開頭減圧術、脳室ドレナージとなった。術後、集中治療室に帰室したところ、心拍数200台のwide QRS tachycardiaとなった。頻拍発作は自然停止したが、その後より平均血圧30台へ低下した。心エコー図検査では左室心基部の無運動を認め、LVEF 26%と左室収縮障害を認めた。たこつぼ型心筋症と診断し、心血管作動薬による循環補助を開始した。第6病日よりLVEFは改善傾向となった。第16病日、心血管作動薬を中止した。[考察]たこつぼ型心筋症は原因となるストレスの発生直後から発症しうるため、来院時のバイタルが安定している症例であっても突然の循環動態の破綻をきたす可能性がある。そのため、来院時のスクリーニングとして心電図、胸部レントゲン撮影だけでなく、心エコー図検査も考慮されるべきである。 [結語]脳動静脈奇形破裂ではたこつぼ型心筋症の可能性を考え対応する必要がある。