第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

集中治療

ポスター発表(I-P04-1)
集中治療2

2023年7月6日(木) 14:30 〜 15:20 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:渕上 泰(岐阜県総合医療センター 小児心臓外科)

[I-P04-1-05] 転帰が異なったCircular shuntを伴う重症胎児Ebstein病の2例

水岡 敦喜1,2, 小田中 豊2, 蘆田 温子2, 尾崎 智康2, 岸 勘太2, 鈴木 昌代3, 小西 隼人3, 根本 慎太郎3, 芦田 明2 (1.市立ひらかた病院, 2.大阪医科薬科大学病院 小児科, 3.大阪医科薬科大学病院 心臓血管外科)

キーワード:重症Ebstein病, Circular shunt, 集中管理

【背景】Circular shunt(CS)を伴う重症Ebstein病は、予後不良でそれぞれの病態に応じた治療介入が必要である。今回、我々は胎児期よりCSを呈し、異なる転帰をたどった重症Ebstein病の2例を経験したので報告する。【症例】症例1:妊娠31週頃より胎児心肥大を指摘され、Ebstein病の疑いで当科紹介となった。帝王切開で出生し、心エコーで重症Ebstein病の診断、CSを呈していた。生後より著明な左心機能の低下を認め、ECMO導入を試みたが、DICを合併しており難渋した。ECMOは導入したものの、脳出血を広範囲に認めており、カウンセリングの後、ECMOを離脱し死亡。症例2:産科で胎児心肥大を指摘され、Ebstein病の疑いで当院に紹介。胎児エコーでCSを伴う重症Ebstein病と診断。症例1を踏まえ、予定帝王切開のもと、生直後からICU管理、CV、Aline確保を行う方針とした。在胎36週3日、帝王切開で出生、挿管管理、CV、Aline挿入しICU管理とした。心エコーでは重症Ebstein病とCSを認めたが、両心室の心機能は維持されていた。肺血管抵抗を下げる方針で加療(高濃度酸素、N0)していたが、肺血流増加による負荷が加わり、心機能の悪化を認め中止。CSも徐々に悪化を認め、循環不全を呈したため、開胸にてPDAを試験的に閉鎖したところ血行動態が安定したため、PDA結紮を施行。術後、低酸素血症が進行し乳酸値の上昇、血圧低下を認めECMOの方針となったが、再開胸をしたところ、バイタルが改善。開胸管理後、NOおよび高濃度酸素にて徐々に安定した。術後8日目に閉胸し、生後26日で抜管、HOT導入で生後2ヶ月に退院となった。【考察】CSを伴う重症Ebstein病は胎児期に診断することにより計画的に出産し、緊急手術やECMOに備え準備を行い、適切なタイミングで血行動態に応じた介入をすることが重要である。