第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

機能的単心室/形態と予後

一般口演(II-OR22)
機能的単心室/形態と予後

2023年7月7日(金) 14:50 〜 15:50 第7会場 (G314+315)

座長:安藤 誠(金沢医科大学), 座長:石丸 和彦(愛媛大学大学院 医学系研究科心臓血管・呼吸器外科学)

[II-OR22-04] フォンタン手術後患者における、腹部超音波検査上の肝線維化進行に関連するバイオマーカーの探索

田中 優1, 佐藤 要1, 小澤 由衣1, 髙見沢 幸一1, 小川 陽介1, 白神 一博1, 益田 瞳1, 相馬 桂2, 齋藤 暁人2, 中塚 拓馬3, 犬塚 亮1 (1.東京大学医学部附属病院 小児科, 2.東京大学医学部附属病院 循環器内科, 3.東京大学医学部附属病院 消化器内科)

キーワード:フォンタン循環, フォンタン関連肝疾患, バイオマーカー

【背景】機能的単心室患者に対するフォンタン手術後には、中心静脈圧上昇を背景として肝線維化が進行し肝硬変、肝細胞癌などを発症するリスクが高く、肝線維化の進行の早期発見は予後改善に重要である。【目的】フォンタン手術後患者における、腹部超音波検査上の肝臓線維化と関連するバイオマーカーを探索すること。【方法】2014年から2022年までの期間中に、当院で腹部超音波検査及び血液検査を施行されたフォンタン手術後症例142例を対象とした。期間中に複数回施行した例は最終検査を採用し、腹部超音波検査と血液検査が3か月以内に行われているものを採用した。肝線維化については腹部超音波での肝表面、辺縁、実質所見を各0-2点でスコア化し、それらの合計が5点以上のものを肝線維化進行例と定義した。進行例群と非進行例群との間で血液検査項目についてMann-WhitneyのU検定による中央値の比較を行い、有意差のある項目についてはROC曲線による診断能の比較を行った。【結果】腹部超音波施行時の年齢の中央値は18.4歳、フォンタン手術後経過年数の中央値は15.1年、男性79例、体心室右室症例73例、内臓錯位32例であった。腹部超音波検査所見による肝線維化進行例は19例であった。進行例群と非進行例群との間で有意な差が見られた項目はヒアルロン酸(中央値65.0 vs. 24.4ng/mL, p=0.010)、γ-GTP(中央値89.5 vs. 61.0 U/L, p=0.0037)、T.Bil(中央値1.6 vs. 0.85 mg/dL, p=0.0061)、BNP(中央値29.7 vs. 17.3 pg/mL, p=0.029)であった。これら4項目のROC曲線のAUCはそれぞれ0.8239, 0.7130, 0.6964, 0.6565であったが、各AUCの間に有意な差は見られなかった。【結論】フォンタン手術後患者において定期的な腹部超音波検査による肝線維化のモニタリングは必要だが、腹部超音波検査施行時期についてはヒアルロン酸などのバイオマーカーを参考にできる可能性がある。