第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

フォンタン手術後遠隔期

一般口演(II-OR23)
フォンタン手術後遠隔期

2023年7月7日(金) 15:50 〜 16:50 第7会場 (G314+315)

座長:葭葉 茂樹(埼玉医科大学国際医療センター), 座長:安田 和志(あいち小児保健医療総合センター 小児心臓病センター循環器科)

[II-OR23-04] Fontan術後1年での中心静脈圧は遠隔期における肝硬変・肝細胞癌を予想する

沼田 寛1, 新居 正基1, 渋谷 茜1, 真田 和哉1, 石垣 瑞彦1, 佐藤 慶介1, 芳本 潤1, 金 成海1, 満下 紀恵1, 十河 剛2, 田中 靖彦1 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.静岡県立こども病院 内科)

キーワード:フォンタン手術, 肝硬変, 中心静脈圧

【背景】日本における多施設研究では術後30年での肝硬変(LC)の合併率は25%を越えることが報告されている。また、術後1年での中心静脈圧(CVP)高値や高度の房室弁逆流(AVVR)が遠隔期のLCや肝細胞癌(HCC)発生リスクと報告されている.【目的】Fontan術後1年での心臓カテーテル検査におけるCVPと心エコー図検査におけるAVVRが,Fontan術後10年以上経過した症例において肝臓病変と関連するかを明らかにする。【方法】Fontan術後1年で心臓カテーテル検査と心エコー図検査を施行しており,術後10年以上経過している症例について後方視的に検討した.CVPを①:CVP≦10mmHg,②:10<CVP<15mmHg,③:CVP≧15mmHg,AVVRを①:mild以下,②:moderate,③:severeのそれぞれ3群に分け肝臓病変の合併について調査した.【結果①】対象:118症例(男:女=56:62),術後観察期間中央値:16.7年(10.0 - 25.1年).診断: 単心室24例,無脾21例,多脾6例,三尖弁閉鎖12例,左心低形成症候群16例,肺動脈閉鎖6例,房室中隔欠損5例,完全大血管転位5例,修正大血管転位6例,両大血管右室起始7例,Ebstein病1例,筋性部心室中隔欠損1例,その他8例.LC合併:12例(10%),うち2例はHCC合併(2%).【結果②】①:CVP≦10mmHg;29例でLC・HCC合併=0例(0%),②:10<CVP<15mmHg;70例でLC・HCC合併=6例(9%).③:CVP≧15mmHg;19例でLC・HCC合併=6例(32%).合併頻度は3群間で有意差を認めた(P<0.05).③群で術後観察期間は長かった(P<0.05).【結果③】①:mild以下;98例でLC・HCC合併=12例(12%).②:moderate;19例でLC・HCC合併=0例(0%).③:severe;1例でLC・HCC合併=0例(0%). 【結論】Fontan術後1年でのCVPはLC・HCCの合併を予想する指標であることが今回の検討でも示唆され,AVVRの程度はLC・HCCの合併に関与しなかった。術後1年でのCVP値に応じて、肝疾患の合併に対するフォローの仕方を変える必要が示唆された。