第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

肺循環・肺高血圧

ポスター発表(II-P07-4)
肺循環・肺高血圧2

2023年7月7日(金) 14:50 〜 15:50 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:中山 智孝(高知赤十字病院小児科)

[II-P07-4-08] 先天性心疾患に伴う区域性肺高血圧症に対する薬物治療効果の検討

内田 敬子1,2, 住友 直文2, 石崎 怜奈2, 福島 裕之3, 石井 卓4, 石田 秀和5, 髙月 晋一6, 小垣 滋豊7, 稲井 慶8, 土井 庄三郎9, 山岸 敬幸2 (1.慶應義塾大学 保健管理センター, 2.慶應義塾大学 医学部 小児科, 3.東京歯科大学市川総合病院 小児科, 4.東京医科歯科大学 小児科, 5.大阪大学大学院医学研究科 小児科学, 6.東邦大学医療センター大森病院 小児科, 7.大阪急性期総合医療センター 小児科・新生児科, 8.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科, 9.国立病院機構災害医療センター 小児科)

キーワード:レジストリー研究, 区域性肺高血圧症, 22q11.2欠失症候群

【背景】主要体肺側副動脈(MAPCA)を伴う区域性肺高血圧症に対する肺高血圧症(PH)治療薬の効果は不明である。昨年の本学会において、区域性PHの一部には平均肺動脈の低下を認める症例も存在したが効果は限定的であること、特に22q11.2欠失症候群(22qDS)の症例ではさらに治療効果が劣ることを単施設の検討で報告した。【目的】多施設の登録症例を対象に区域性PHの治療効果を検討する。【方法】CHD-PHの多施設症例登録研究(JACPHR)に2023年1月現在全国20施設より登録された全129例のうち、PH診断時と登録時で6カ月以上の期間があり各々の心臓カテーテル検査(CC)データが入手可能な区域性PH症例10例を22qDS群と非22qDS群で比較した。【結果】22qDS群(n=3)と非22qDS群(n=7)の間で、PH診断時年齢、登録時年齢、治療期間、登録時WHO-FCに差はなく、診断時重症例が非22qDS群に多い傾向だった(診断時WHO-FCⅢ度:22qDS群0例、非22qDS群3例)。一方で、22qDS群の方に積極的にPH治療薬が使用されていた(22qDS群:2剤併用2例、3剤併用1例、非22DS群:未使用1例、単剤療法3例、2剤併用3例、3剤併用0例)が、治療効果は低かった(PH診断時と登録時の平均肺動脈圧は22qDS群では3例中2例で上昇(平均値で28.7から39.3 mmHgへ)、非22qDS群ではすべて低下(平均値で44.3から28.1 mmHgへ))。さらに非22qDS群のうち診断から最近のCCまで6年以上経過した5例中2例は平均肺動脈圧が正常域まで低下していた。【考察・結語】区域性PHに対するPH治療薬の効果は限定的であり、特に22qDS症例では乏しい。区域性PHに対するPH治療薬の効果を予測する場合には、22qDS症例か否かを考慮することが重要であり、非22qDS症例の一部ではPH治療薬の効果が期待できることが示唆された。