[II-SY06-04] 先天性心疾患術後重症心不全患者に対する心臓移植適応と補助循環治療
キーワード:重症心不全, 心臓移植, 機械的補助循環
【背景】先天性心疾患(CHD)患者に対する外科的治療成績の向上により、長期遠隔予後は良好である。一方で、遠隔期に重症心不全へと進行し、心臓移植適応検討並びに補助人工心臓(VAD)装着を必要とする症例が増加している。心筋症を基礎とした重症心不全患者に対する心臓移植を中心とした治療体系は徐々に確立されつつある一方、心臓形態異常を基礎とする重症心不全患者に対する治療戦略は複雑で、未だchallengingである。そこで、CHD重症心不全患者に対する心臓移植の適応と機械的補助循環治療における問題点と課題を検討する。【対象】2015年から2020年までに当院で心臓移植適応検討に上ったCHD患者25例(成人症例を含む)を対象に、移植適応および補助人工心臓装着の適応評価を行った。【結果】基礎疾患はTF:7例、単心室12例、TGA1例、cTGA3例、congenital AS1例、VSD1例。心臓移植適応と判定されて待機リストに乗ったのが5例。Bridge to candidacyとして補助循環装着を行ったのが2例(2例ともに感染症により死亡)、Bridge to TransplantとしてVAD装着を行なったが3例(心臓移植到達1例、死亡2例)。内科的治療で待機中が2例、心臓移植到達1例。心臓移植適応外の原因は、不可逆性の肝機能障害、腎機能障害、過度な側副血行路の存在、悪性腫瘍の併存、家族サポートなどの社会的背景などであった。【まとめ】CHD患者は臓器機能障害の進行により移植適応外判定となることが多い。その特有の病態による問題点を早期から認識して移植適応評価並びに補助循環導入の時期を検討することが重要であると考えられた。