[III-P10-1-04] 高拍出性心不全を伴う巨大血管奇形治療後の心機能変化
Keywords:高拍出性心不全, 血管奇形, 心機能
【背景】動静脈奇形(AVM)は病変内に動静脈短絡を一つあるいは複数有し、拡張・蛇行した異常血管の増生を伴う高流速型血管病変である。短絡量が多い場合、高拍出性心不全を呈することがある。塞栓療法は速やかな病変縮小が期待出来るが、治療前後での心機能変化については不明な点が多い。【目的】高拍出性心不全を伴ったAVM患者に対する塞栓療法前後での心について報告する。【結果】症例は10歳男児。6歳頃より右前頸部の腫脹を認め、徐々に増悪、心不全症状を呈するようになった。右鎖骨下動脈から多数の分枝を持ったAVMと診断、径は10cm程度、下端は胸腔内まで進展していた。外科的摘出術は困難難、3回のコイル塞栓術は無効、利尿剤、シロリムス内服も効果は乏しかったため塞栓療法を施行した。短絡部流出静脈に3個のコイル留置し、塞栓物質を注入した。術直後に心胸郭比は改善(70%から57%)したが、心駆出率(EF)は低下した(52%から38%)。利尿剤、ドブタミン、ミルリノン投与し、心機能は改善した(EF:44%)。抜管直後にEFの低下を認めたが、エナラプリル内服にて心機能は改善した。術後3週間で合併症なく退院した。【考察】高拍出性心不全では心不全の程度を過小されることがある。硬化療法は即効性が高く、治療直後にシャント量が激減する。前負荷が減少するが、同時に後負荷増大が起こり、心機能低下が顕著になると考えられる。また治療後に全身麻酔下での管理を要することも多く、覚醒時の後負荷増大による心機能低下が起こることにも留意する必要がある。【結論】高拍出性心不全を合併した動静脈奇形に対する硬化療法が効果的であるが、心不全が顕在化することがあるため管理には十分な注意が必要である。