The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

川崎病

ポスター発表(III-P12-1)
川崎病3(評価・他疾患)

Sat. Jul 8, 2023 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:星合 美奈子(山梨県立中央病院小児循環器病センター)

[III-P12-1-08] COVID19流行期における川崎病様症状に心筋障害を合併した症例の検討

藤原 弘之1,2, 菊地 夏望2, 須長 祐人2, 吉沢 雅史2, 河野 洋介2, 長谷部 洋平2 (1.山梨県立中央病院 新生児内科, 2.山梨大学 医学部 小児科)

Keywords:川崎病類似疾患, MIS-C, 心筋障害

【背景】小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C)では心筋障害を合併し集学的治療を要する緊急性がみられる一方,川崎病(KD)類似疾患を中心とする慎重な鑑別を要するため診断や管理方針に苦慮する場合がある.今回我々はKD症状に心筋障害を合併した症例の臨床的特徴を後方視的に比較した.さらに診断時期及び治療の妥当性について検討した.【方法】2020年3月以降,心筋障害を合併したKD疑似症例をMIS-C例(M群)と非MIS-C例(NM群)に分け,臨床経過,血液検査,画像検査所見を後方視的に比較検討した.【結果】全症例の年齢分布は6歳から15歳.NM群はエルシニア腸炎が1例,KDショックシンドローム(KDSS)が2例だった.臨床症状としてM群,NM群ともに全例でKD症状と消化器症状が確認された.M群は第5病日までにKDに対する大量γグロブリン療法(IVIG)が実施された.1例はIVIG不応KDでありInfliximabを投与された後に不整脈と心機能低下を指摘され搬送され,最終的にMIS-Cと診断とされた.NM群は3例中2例が第7病日まで治療介入されなかった.エルシニア腸炎例は血球貪食症候群合併の診断となり第8病日からmPSL pulse療法を要した.第9病日から血漿交換を要したKDSS例で心機能低下と冠動脈瘤が残存した.血液検査(M群:NM群,mean)において総コレステロール値(T-chol値)は(61.3:113.0 mg/dl)だった.M群では冠動脈病変は認めず心機能はすぐに正常化した.NM群ではKDSSの1例に心機能低下と冠動脈瘤が残存した.【考察】臨床症状によるMIS-Cの鑑別は困難だった.NM群では治療介入時期が遅く重症化した可能性が否定できなかった.一方M群ではIVIG不応KDの治療後に状態が悪化しMIS-Cと診断された症例もおり,慎重な診断介入が必要であると考えられた.T-chol値はMIS-Cの鑑別に有用となる可能性が考えられた.【結語】MIS-Cを含めたKD類似症例においては早期に正確な診断が求められる.T-chol値の検討はその一助となり得,今後の症例の蓄積が望まれる.