第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

一般心臓病学

一般口演4(I-OR04)
一般心臓病学

2024年7月11日(木) 13:10 〜 14:10 第6会場 (4F 401-403)

座長:中山 智孝(高知赤十字病院 小児科)
座長:長井 典子(岡崎市民病院 小児科)

[I-OR04-06] 心室中隔欠損症における月齢2の心電図R波による手術予測

神野 太郎, 水野 風音, 高橋 努 (済生会宇都宮病院 小児科)

キーワード:心室中隔欠損, 心電図, 予後予測

【背景】心室中隔欠損症において出生後早期の心電図変化による予後予測に関する報告は少ない。【方法】当院の診療録を後方視的に検討した。2018年1月~2023年10月に出生し月齢2に心電図検査を実施したperimembranous VSDを対象とした。心内修復術が乳児期に行われた群(I群)と非手術群(O群)に分類した。手術予測の有用性および心臓カテーテル検査所見、月齢2-3の心臓超音波検査所見と心電図所見の関連を検討した。染色体異常や多発奇形症候群を伴う症例は除外した。【結果】perimembranous VSD 27例のうちO群19例、I群8例(手術月齢2-9, 中央値5)だった。ROC解析の結果、RV1, RV5, RV6のAUCが0.93 (95%CI 0.83-1.0), 0.82 (95%CI 0.61-1.0), 0.88 (95%CI 0.62-1.0), cut off値は17.8mm(感度89%, 特異度88%), 30.6mm (感度78%, 特異度88%), 23.4mm(感度89%, 特異度88%)だった。心臓カテーテル検査は月齢3-54(中央値5)で11例に行われ、Qp/Qs(最小1.1, 最大3.7, 中央値1.9)はRV1, RV5, RV6とそれぞれ強い正の相関関係があった(相関係数0.86, 0.75, 0.85, p=0.0008, 0.008, 0.001)。mean PAP(最小12, 最大48 mmHg 中央値18 mmHg)とRV6は強い正の相関関係にあり(相関係数0.82, p=0.002), RV1, RV5とは正の相関関係を認めた(相関係数0.65, 0.69, p=0.02, 0.019)。肺血管抵抗と心電図所見に有意な相関関係はなかった。月齢2の欠損孔径(最小3, 最大7mm, 中央値3mm)とRV1, RV5, RV6はそれぞれ正の相関関係を認めた(相関係数0.50, 0.60, 0.53, p=0.001, 0.002, 0.008)。月齢2の心房間交通径に両群間で差はなく(0-4mm vs 0-3mm, p=0.4)、両群ともに月齢3にかけて縮小傾向だった(p=0.055)。【考察】Qp/Qs1.5以上で手術適応となる中‐大欠損孔は月齢2に右室負荷所見およびRV5, RV6増高を示す。【結語】心室中隔欠損症において月齢2のRV1>17.8mm, RV5>30.6mm, RV6>23.4mmは乳児期手術適応の予測因子である。