[I-OR06-04] Reasoning in AI-based cardiovascular event prediction from pediatric ECGs
Keywords:AI, 心電図, 人工知能
【背景】諸分野で人工知能(AI)を用いた解析が進むなか、その判断根拠は不明なことが多い。AIの判断根拠を解明できれば従来の検査所見に新たな病態生理学的意義を見出せる可能性がある。以前、我々が発表した小児心電図を解析するモデルで得られた出力(AI-ECG-BNP)は主要心血管イベントの予測精度においてBNPを上回った。このモデルが心電図のどのような特徴を重視しているのか解析し考察した。【方法】評価用データセットである295患者由来の813心電図を解析対象とした。AIが重視する心電図波形をGradCAM法で可視化し、UMAP法によって注目パターンの類似度に基づいて症例を分類した。各分類の境界域にあたる症例を除き、心電図波形と患者情報を比較した。【結果】AIの注目パターンにより3群に分かれた。A群はBNP(中央値42.7 四分位範囲 9.4 - 51.5 pg/mL)やAI-ECG-BNP(中央値34.8 四分位範囲 15.4 - 55.2)が最も低く正常波形に近いものが多かった。B群は先天性心疾患が76.2%と多く、年齢も中央値3.60歳(四分位範囲 0.42 - 5.91歳)と最も低かった。右脚ブロックを含むQRS幅の広い例が多く、AI-ECG-BNPが大きくなるとQRS幅が開大する傾向にあった。C群は心筋症が21.1%と多く、先天性心疾患も44.7%含まれていた。BNP(中央値159.8 四分位範囲 12.8 - 238.9 pg/mL)やAI-ECG-BNP(中央値132.5 四分位範囲 28.8 - 171.6)は3群中最も高く、左側胸部誘導のQRS幅や電位の変化が関わっていた。【考察】AIは心電図から病理学的背景を判別している可能性が考えられた。QRS幅や電位の変化に加え、その差異が微妙なものや人間には解釈の難しい波形変化を追っている可能性もあった。AIによる判断根拠をさらに求めることで、人間による心電図判読でも参考としうる所見が見出せる可能性がある。【結論】AIによる心電図解析では病理学的背景を反映した系統だった判別が行われている。