[I-P01-4-07] 異なる治療経過を経た腎動脈狭窄症の3症例
キーワード:腎動脈狭窄症, 高血圧症, バルーン拡張術
【背景と目的】小児の高血圧症(HT : Hyper tension)は二次性の場合が多く10~20%は腎動脈狭窄症(RAS : Renal Artery Stenosis)とされる. 異なる経過を経たRAS 3例を報告する.【症例1】13歳女児. 頭痛をきっかけにHTを指摘, 右RASと診断された. 血圧(BP : Blood Pressure)120-140/80-100mmHgでアムロピジン, バルサルタンを内服も降圧は得られず, バルーン拡張術(BAP : Balloon Angioplasty)を実施した. 3.6mmの腎動脈(RA : Renal Artery)に限局的な全周性狭窄0.7mmを認め, 遠位は狭窄後拡張をきたしていた. Shiranui EX 4.0mmでwaistは消失し狭窄部は3.2mmまで拡張した. BP100-120/60-80まで改善し降圧薬の漸減中止に至った.【症例2】5歳女児. 月齢3に前医でHT, 右RASを指摘された. BAPは無効で, 月齢5で当院(腎臓科)紹介となった. アムロジピン, バルサルタン, カルベジロールで降圧が得られず, 月齢11にBP管理, 再度のBAPを目的に他院へ紹介された. しかしBAP実施に至らず, ニフェジピン及びプラゾシンが追加された. その後は当院でBP120-130/70-80mmHgを目標に管理された. 5歳時に当院でBAPを実施した. 右RA起始部が完全閉塞し, 近傍の小動脈とRAが交通, 最狭部0.8mmであった. Coyote 1.5mmを使用するも狭窄は解除できず. 実施後のBPに明らかな変化はない.【症例3】3歳女児. 痙攣重責, HT(BP150台)で当院PICUへ入床し左RASと診断された. アムロジピン, バルサルタン, ミニプレス, カルベジロール使用でBP110-130mmHgとなった後catheterを実施した. 左RAは完全閉塞し, 細かな側副血管から血流供給された状態でBAPは不可であった. 以降内服治療を継続している.【考察】RASに対するBAPは奏功すれば降圧薬の減量・中止が期待されるが, 病変の形態によっては効果が限定的である. 解剖学的構造からFAからのアプローチに難渋する場合があり, 自験例でもlong sheathの使用など工夫を要した.