[I-P01-5-03] 小児がん経験者における流線トポロジー解析を用いた左心室内血流パターンの検討
キーワード:流線トポロジー解析, 血流解析, がん治療関連心機能障害
【背景】近年、心室内の血流の可視化が可能となり、位相幾何学と力学理論を用いて正確に血流パターンを同定する理論である流線トポロジー解析 (Topological Flow Data Analysis; TFD解析) が提唱された。同理論は新たな心機能指標となる可能性があるが、それを用いた研究はまだ報告されていない。
【目的】TFD解析を用いて正常な小児から若年成人の左心室内血流パターンを明らかにすること。また、小児がん経験者における変化を評価し、鋭敏な心機能指標になり得るか検討すること。
【方法】対象は当院でアントラサイクリンを含む化学療法後1年以上経過し、左室長軸方向ストレインの低下 (14.2±1.0%) を認めた小児がん経験者20例 (C群) と年齢を合わせた正常対照20例 (N群)。TFD解析ではVector Flow Mapping (Cardio Flow Design社) を用いて、心尖部三腔像カラードプラ画像から渦流構造や鞍点を抽出した。
【結果】TFD解析ではN群において駆出期を通じて僧帽弁下に時計回りの渦が存在し、心尖部から流出路への血流が発生した。拡張期には僧帽弁後方に反時計回り、前方に時計回りの渦が発生し、流入部から心尖部に向かう血流が発生した。一方、C群では収縮期の時計回りの渦が同様に存在するが小さく、収縮末期に消失し異常な渦流の出現も一部の症例で観察された。さらに、C群の鞍点の位置はN群と比較して有意に心基部側であった (p<0.01)。拡張期では心尖部に達する良好な血液流入を認めない症例が13/20例あり、さらに拡張期早期の異常な渦の発生数はC群で有意に高値であった (p<0.01)。
【結論】TFD解析を用いて、正常例における血流パターンが明らかとなった。また、小児がん経験者ではこれらの正常パターンが形成されていない症例が多く、鋭敏な心機能指標となる可能性が示唆された。更に新たな計測値を加えて発表する。
【目的】TFD解析を用いて正常な小児から若年成人の左心室内血流パターンを明らかにすること。また、小児がん経験者における変化を評価し、鋭敏な心機能指標になり得るか検討すること。
【方法】対象は当院でアントラサイクリンを含む化学療法後1年以上経過し、左室長軸方向ストレインの低下 (14.2±1.0%) を認めた小児がん経験者20例 (C群) と年齢を合わせた正常対照20例 (N群)。TFD解析ではVector Flow Mapping (Cardio Flow Design社) を用いて、心尖部三腔像カラードプラ画像から渦流構造や鞍点を抽出した。
【結果】TFD解析ではN群において駆出期を通じて僧帽弁下に時計回りの渦が存在し、心尖部から流出路への血流が発生した。拡張期には僧帽弁後方に反時計回り、前方に時計回りの渦が発生し、流入部から心尖部に向かう血流が発生した。一方、C群では収縮期の時計回りの渦が同様に存在するが小さく、収縮末期に消失し異常な渦流の出現も一部の症例で観察された。さらに、C群の鞍点の位置はN群と比較して有意に心基部側であった (p<0.01)。拡張期では心尖部に達する良好な血液流入を認めない症例が13/20例あり、さらに拡張期早期の異常な渦の発生数はC群で有意に高値であった (p<0.01)。
【結論】TFD解析を用いて、正常例における血流パターンが明らかとなった。また、小児がん経験者ではこれらの正常パターンが形成されていない症例が多く、鋭敏な心機能指標となる可能性が示唆された。更に新たな計測値を加えて発表する。