[I-P01-6-09] 免疫グロブリン不応高リスク群の川崎病に対するプレドニゾロン早期漸減法
キーワード:川崎病, ステロイド, 免疫グロブリン不応
【背景】RAISE studyのプロトコルでは免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応高リスク例に対してプレドニゾロン(PSL)を併用し、CRP0.5mg/dl以下になった時点から15日かけて5日間毎にPSL 2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kgと漸減していく。この場合、PSL長期投与による副作用や入院の長期化が問題となる。そこで、当院ではRAISE studyのプロトコルよりも短い期間でPSLを漸減、終了としている。【目的】川崎病IVIG不応高リスク群に対する、ステロイド初期併用療法後のPSL早期漸減(以下modified RAISE)の効果ついて検討する。【対象と方法】2016年6月から2022年12月までの期間に当院に入院し、川崎病または不全型川崎病と診断した患者304例(男児182例、女児122例)を対象とし、診療記録を用いて後方視的に検討した。小林スコア5点以上のIVIG不応高リスク例ではPSL2mg/kgで開始し、CRP正常が0.5mg/dl以下になった時点から6日間かけて3日間毎にPSL1mg/kg、0.5mg/kgと漸減し終了とする。主要評価項目は、PSL漸減中の再燃の有無と発症後1ヶ月時点での心臓超音波検査の評価による冠動脈病変の有無とした。【結果】対象304例のうち、IVIG不応高リスク例に該当したのは102例であり、そのうち当院のプロトコルに基づいてPSLを漸減した症例は98例であった。追加治療を要した症例は24例であるが、PSL漸減の途中に再燃(追加治療を要した症例)した症例は1例であり、3rd ラインまで治療を要した。また、治療から1ヶ月後の時点で冠動脈病変を有したのは1例のみであった。以上の結果はRAISE studyと比較しても遜色のない結果であった。【考察】modified RAISEはRAISE studyと比較し非劣性であることが明らかになった。ただし、治療適応の判断基準(modified RAISEかRAISE studyに則った治療を行うべきか)については今後の検討課題と考える。【結論】modified RAISEによる治療方法は、川崎病治療の有望な選択肢の一つとなり得る。