[I-P02-1-08] ファロー四徴症の術式間における右室心筋microRNA発現の差異
キーワード:ファロー四徴症, microRNA, 手術治療
【目的】ファロー四徴症の右室流出路再建には、大きく分けて2つの方法がある。一つは、肺動脈弁輪に切開を加えて、1弁付きパッチにて右室流出路を拡大する方法(Transannular patch repair, TAP)、もう一つは、弁を温存して肺動脈と右室流出路を拡大する方法(Valve-preserving repair, VP)である。術式の選択には、右室流出路狭窄の程度が関連していることから、これら2術式間においては、右室流出路心筋の分子病態も異なっている可能性がある。そこで本研究では、右室心筋のmicroRNAに着目し、2術式間において比較を行った。【方法】術中に切除された右室流出路の心筋を液体窒素で凍結し、岡山大学病院バイオバンクにて保管した。2020年8月から2022年7月に保管された9例(TAP 4例、VP5例)のサンプルを対象に解析を行った。手術時の平均年齢は1.2才、男女比は、1:2であった。凍結された心筋組織をホモジナイズし、microRNAを含むTotal RNAを抽出した。microRNAアレイを用いて、2000種類以上のmicroRNAを同時測定した。【結果】全9例において1171種類のmicroRNAが測定可能であった。TAPとVPにおいて、22種類のmicroRNAの発現が有意に異なっていた(P<0.05)。TAPにおいて19種類のmicroRNA発現が増加しており、VPにおいて3種類のmicroRNA発現が増加していた。また、両群間において2倍以上の差があったmicroRNAは2種類であった。【結論】ファロー四徴症の術式間において、右室流出路心筋のmicroRNA発現に差があることが明らかとなった。microRNAは、ファロー四徴症の病態解明や術式選択の一助となりうる可能性があることが示唆された。