[I-P02-3-09] Total Cardiovascular Magnetic Resonance: Treatment Planning Based on Hemodynamic/Lymphodynamic Assessment for Complications after Fontan Palliation
Keywords:Fontan palliation, cardiovascular magnetic resonance, lymphodynamics
【背景】Fontan術後合併症のなかで乳糜漏出,蛋白漏出性胃腸症,鋳型気管支炎などの疾患は,その病態として中心静脈圧の上昇に伴うリンパ管の機能的/器質的変化が指摘されている.これらの疾患に対して,歴史的に血行動態治療が治療の中心であったが,近年リンパ動態治療に注目が集まるようになった.しかし,血行動態治療とリンパ動態治療のどちらを優先すべきかについてコンセンサスはない.そのなかで,心血管磁気共鳴(CMR)領域は心血管だけでなくリンパ管も評価対象とするようになってきており,これらを同時期に評価することが治療計画を立てるうえで有用ではないかと考えた.【症例1】8歳女児,三尖弁閉鎖に対し左右肺血流連続性の確保に難渋しながら4歳時に開窓Fontan手術が施行され,反復性乳糜胸水があり当院紹介となった.CMRによる血行動態/リンパ動態評価を行い肺内リンパ還流症候群に基づく反復性乳糜胸水と判明し,胸管破砕術を行い乳糜胸水は改善した.現在後治療として血行動態治療を行っている.【症例2】10歳女児,左心低形成症候群に対し1歳時に開窓Fontan手術が施行された.左肺静脈狭窄に対しステント留置を行うも左肺動脈血流の逆行が出現し,中心静脈圧が高い状態が続き5歳時に蛋白漏出性胃腸症を発症,管理に難渋し当院紹介となった.CMRによる血行動態/リンパ動態評価を行い,リンパ流はあまり大きな異常がないなか,高拍出状態であったためミドドリン+利尿剤治療を行ったところ改善傾向となった.【結語】CMRによる総合的な心脈管評価を行うことで血行動態とリンパ動態の両者に基づく治療計画が可能となる.