第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表

大動脈

ポスター発表(I-P02-5)
大動脈

2024年7月11日(木) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:深江 宏治(熊本市立熊本市民病院 小児心臓外科)

[I-P02-5-04] 第5大動脈弓遺残に大動脈弓離断、右側大動脈弓、左鎖骨下動脈起始異常を合併した症例における病理学的検討

朝貝 省史1, 原田 元1, 島田 衣里子1, 石戸 美妃子1, 吉澤 佐恵子2, 新川 武史3, 稲井 慶1 (1.東京女子医科大学病院 循環器小児・成人先天性心疾患科, 2.東京女子医科大学病院 病理診断科, 3.東京女子医科大学病院 心臓血管外科)

キーワード:第5大動脈弓遺残, 大動脈形成術, 病理所見

【はじめに】第5大動脈弓遺残(Persistent fifth aortic arch: PFAA)は発生異常により引き起こされる稀な疾患であり、大動脈弓離断や大動脈縮窄を合併する。大動脈弓形成術の際に第5大動脈弓の組織所見が重要である。今回、PFAAに大動脈弓離断、右側大動脈弓、左鎖骨下動脈起始異常を合併した新生児に対して第5大動脈弓を切除し大動脈弓形成術を行った症例を経験したので、病理所見を踏まえて治療方針について検討する。
【症例】現病歴:在胎38週1日、3614gで出生した男児、日齢1に心雑音を認め、日齢17に当院紹介。入院後経過・各種検査所見:上下肢血圧差22mmHg(右上肢96/、左上肢・右下肢・左下肢74/)、駆出性収縮期雑音(Levine II/VI)、足背動脈触知微弱を認めた。心臓超音波検査:大動脈弓は第3分枝まで分岐した後に離断、第5大動脈弓が残存し狭窄(最小径2.6mm、最大血流速度3.3m/s)。造影CT検査:第5大動脈弓遺残に加え、A型大動脈弓離断、右側大動脈弓、左鎖骨下動脈起始異常を合併、第5大動脈弓遠位部で狭窄(最小径2.5mm)、下行大動脈から左鎖骨下動脈が起始、気管分岐部の背側を走行して血管輪を形成。手術所見:日齢28に大動脈形成術を施行。遺残第5大動脈弓を上行大動脈から離断、狭窄部を切除、下行大動脈小弯側を縦切開し、下行大動脈から大動脈弓、上行大動脈まで自己心膜パッチで縫合。病理所見:切除したPFAAは内膜、中膜、外膜と3層構造。内膜は浮腫状に軽度肥厚し、アルシアンブルー染色では内膜および中膜にmyxoid変性(粘液腫様変性)を認めた。術後経過:上下肢の血圧差や造影CT検査で形態的狭窄は認めず、術後9日目に退院。
【考察】切除したPFAA組織所見は正常大動脈と同様の3層構造であったが内膜肥厚やmyxoid変性を認め、将来的に狭窄や動脈瘤を合併する可能性があった。【結論】切除が可能な大動脈弓形態であればPFAAを切除し、大動脈を再建するのが望ましいと考えられる。