[I-P02-6-03] 川崎病による左冠動脈分岐部巨大瘤の遠隔期形態変化について
キーワード:川崎病, 冠動脈瘤, 冠血行再検術
(背景)川崎病 (KD) による巨大瘤 (GA)は遠隔期に狭窄性病変をきたしうる。左冠動脈分岐部瘤 (LCA AN)は、KDによる瘤の好発部位で冠動脈近位部にあるため、予後に影響を与える。瘤径が6mm以上で、拡大するほど狭窄性病変が出現しうる。(目的) LCA分岐部GAの遠隔期の形態学的変化を明らかにする。(対象と方法) KDによる LCA GA (8mm以上) がKD罹患後150日以内に選択的冠動脈造影 (CAG) により診断され、遠隔期にCAGによる評価が施行された60例 (男41例 女19例)である。KD罹患は2か月-10歳(中央値22か月)、初回CAGは28-145日 (中央値62日)、川崎病罹患から最新 CAGまでの期間は2か月-31年(中央値14年)であった。遠隔期CAGにおけるLCAの形態変化についてみた。また、初回CAGの形態を球群と円筒群の2群に分け、急性心筋梗塞 (AMI)、冠血行再建術の頻度について検討した。(結果)遠隔期CAGにおいて、左冠動脈分岐部のAN残存33例(55%)、拡大7例(12%)、退縮15例 (25%)、閉塞5例 (8%)であった。41例(68%)に狭窄性病変が出現した。AN残存群の18例 (55%)に、LAD16 LCX2、拡大群の5例 (71%)のLADに、退縮群の13例(87%)に、LAD12 LCX1の狭窄性病変を伴っていた。急性心筋梗塞は18例 (30%)、冠血行再建術は29例(48%)、死亡は3例 (5%) であった。心事故なしは14例 (23%)で、そのうち10例のANはLCA分岐部に限局していた。初回CAGにおけるGAの形態は、球群46例、円筒群14例で、AMIは、球群11例 (24%)、円筒群7例 (64%)、冠血行再建術、球群19例(41%)、円筒群10例 (71%)であった。死亡は球群2例、円筒群1例であった。(まとめ) LCA GAではLADの狭窄性病変の出現により、結果的に形態学的にGAが縮小、退縮する場合がある。冠血行再建術後、左主幹部閉塞に至ることがある。円筒群は球群に比べ、高率に心事故が発症しうる。瘤径とともに末梢への拡大の進展がGAの転帰に影響を与える。