第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P03-1)
一般心臓病学

2024年7月11日(木) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:中山 智孝(高知赤十字病院 小児科)

[I-P03-1-03] 当院における心室中隔欠損を認めた超低出生体重児の転帰

井口 貴文, 星野 真介, 藤田 聖実, 古川 央樹 (滋賀医科大学 小児科学講座)

キーワード:超低出生体重児, 心室中隔欠損症, 転帰

【背景】心室中隔欠損症(VSD)を合併した超低出生体重児(ELBWI)の転帰の報告は限られている。【方法】カルテレビューによりレトロスペクティブに単施設コホート研究を行った。2007年10月1日から2023年9月30日の16年間に、「超低出生体重児」が病名として登録された児を、病名検索からリストを挙げて解析し、院外出生で紹介された児も対象とした。ファロー四徴症(TOF)や房室中隔欠損症(AVSD)の一部としてのVSDは除外したが、心房中隔欠損症(ASD)や二心室修復可能な大動脈縮窄症(CoA)に合併したVSDは含めた。【結果】上記期間に病名として登録された143例のELBWIのうち、17例(11.9%)で未熟児動脈管開存以外の先天性心疾患を合併していた。VSDは8例(5.6%)であり、VSD単独5例、ASD合併2例、CoA合併1例だった。8例のVSDのうち4例は自然閉鎖し、2例は自然閉鎖傾向で観察中、1例は姑息術でとどまり、1例は死亡した。死亡した症例は21トリソミー、Hirschsprung病を合併し、消化管手術後に回復できず日齢29に死亡した。自然閉鎖した4例は傍膜様部3例(1-4.4mm)、筋性部(1mm)1例で、5mm以上の欠損の2症例は自然閉鎖していないが、そのうちの1症例は6mm大の欠損にも関わらず利尿薬で管理を行ううちに高肺血流が改善傾向となり、手術を必要としなかった。また自然閉鎖した症例のうち1例はNoonan症候群と診断された。自然閉鎖した症例のうち別の1例は後に右室二腔症と診断され、VSDは自然閉鎖したが2歳時に異常筋束切除術を要した。自然閉鎖傾向で無治療観察中のうち1例はBaraister-Winter症候群で、脳梁欠損や小脳形成不全などを合併していた。姑息手術で止まっている症例は新生児期に播種性血管内凝固、肺出血、消化管出血の既往があり、重度の肺高血圧を認めた。【結語】合併症のために新生児・乳児期に侵襲のある処置を行わなければならないVSDは転帰が悪い可能性がある。