第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

成人先天性心疾患(外科)

ポスター発表(I-P03-5)
成人先天性心疾患(外科)

2024年7月11日(木) 15:30 〜 16:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:松葉 智之(鹿児島市立病院 心臓外科)

[I-P03-5-08] 大動脈弁二尖弁、先天性肺低形成を伴うKlippel-Feil症候群の成人患者に大動脈弁置換術を施行した1例

石川 廉太 (安城更生病院 心臓血管外科)

キーワード:Klippel-Feil症候群, 弁膜症, 成人先天性心疾患

【背景・目的】Klippel-Feil症候群(KFS)は短頸、後頭部髪際の低下、頭頸部の運動制限を3つの症状が特徴的な骨格異常を主体とする稀な遺伝性疾患であり、4%程度に先天性心疾患を合併するとされている。今回はKFSに大動脈二尖弁、severe AR、先天性肺低形成を伴った成人症例に対して大動脈弁置換術を施行した1例を経験した。患者は34歳女性、8歳時に心房中隔欠損閉鎖+動脈管結紮術を施行されていた。その後フォロー途絶えていたが、労作時息切れを主訴に来院され、精査で大動脈弁二尖弁を伴ったsevere ARを認め手術の方針となった。先天性左肺低形成を伴っており、一回換気量は2.1L(%VC 59%)、1秒量1.39L(FEV1.0は62.3%)と混合性換気障害を伴っていた。【方法・結果】頸部の運動制限や、気胸などの既往を有していたため、麻酔導入、術中維持等に工夫を要したが、手術は正中切開で特に問題はなく大動脈弁置換術(SJM Regent 21mm)を施行した。その後の経過も順調で、現在は社会復帰されている。【考察・結論】KFSに大動脈弁二尖弁を伴い成人期でAVRを行った報告は数例あるが、先天性肺低形成、開心術歴のある報告はなく、麻酔導入、維持に工夫を要したが、問題なくAVRを施行でき、その後の経過も良好であった。KFS自体が稀な疾患で予後も良い疾患ではあるが、心臓疾患を有する場合は予後因子となる可能性があり、積極的な手術介入が望ましいと思われる。