[I-PSY1-4] 肺静脈狭窄を伴う無脾症候群への治療戦略~ステント留置と外科治療~
キーワード:無脾症候群, 肺静脈狭窄, ステント
【背景】心房内臓錯位症候群中でも右側相同の予後は悪い。肺静脈狭窄や肺動脈閉鎖の合併は危険因子となる。【目的】1当院での無脾症候群の治療方法、治療成績を明らかにする。2肺静脈狭窄合併例の成績から治療戦略を考察する。【対象と方法】2012年から2023年に出生した無脾症候群70人中、緩和的治療の8人を除く62人の、治療方法と予後を後方視的に検討した。【結果】無脾症候群70人中、緩和選択は8名でいずれも中等度以上のPVO合併例であった。緩和をのぞく62人の死亡率は、1カ月91.9%、6か月82.2%、1年77.2%、3年73.3%、5年69.4%であった。肺静脈狭窄軽度以下(45人)では1カ月95.6%、6か月86.7%1年86.7%、3年81.1%、5年81.1%に対し、肺静脈狭窄中等度以上(以下PVO群)(17人)では1カ月76.5%、6か月70.6%、1年52.9%、3年52.9%、5年37.8%と肺静脈狭窄の強い症例の予後は有意に悪い。PVO群に対し早期外科介入7人(41.2%)ステント留置9人(52.3%)ステント置けずバルーンのみ1人(5.9%)が行われた。PVへの外科的介入はステント群98.1±43.6日に対しステントなし群20.8±25.0日(p<0.05)だったが、生存率は早期外科介入4人(57.1%)、ステント留置3人(33.3%)であり生存率に有意差はなかった。生存例のグレン到達率7/7(100%)、フォンタン到達率3/7(42.9%)で2例は待機中である。肺動脈閉鎖合併の9例にはBTシャント1例、両側肺動脈絞扼術4例、RVPAシャント4例施行し、有意差はないがRV-PAシャントは3/4が生存していた。【考察】肺静脈狭窄を伴う無脾症候群に対し、ステント留置の有効性の報告がある。当院でのステントは肺静脈への外科治療介入を遅らせるが、生存率には寄与せずさらなる治療戦略の構築が必要と考える。【まとめ】PVOを伴う無脾症候群の治療成績は十分とは言えない。肺動脈閉鎖に対してはRV-PAシャントが予後を改善させる可能性がある。