The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

JSPCCS-ACHD-JS Joint Session

JSPCCS-ACHD-JS Joint Session

Fri. Jul 12, 2024 12:40 PM - 1:50 PM ROOM 5 (4F 413+414)

座長:考藤 達哉(国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター)
座長:石戸 美妃子(東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

[II-JS-5] Fontan手術後に肝細胞癌を発症し、手術・加療後にも再発・増悪を来した2例

本間 友佳子, 早渕 康信 (徳島大学大学院 医歯薬学研究部 小児科)

Keywords:Fontan術後, FALD, 肝細胞癌

【症例1】23歳、女性。三尖弁閉鎖、肺動脈弁欠損に対して1歳時に Fontan 術を施行された。直近の心臓カテーテル検査は14歳時で CVP 13-15mmHg であった。現在 SpO2 87-89%である。心窩部痛を主訴に救急外来を受診し、偶発的に肝臓に腫瘤を指摘された。結節性過形成の可能性も考慮されたが、造影MRIを施行したところ S1, S6/7 に肝細胞腺腫/肝細胞癌を疑われたため、肝生検を施行して病理診断された。外科的切除の前に化学療法 (Atezolizumab + Bevacizumab) を先行したが、経過中に右臼蓋骨転移による病的骨折を発症した。現在も外来で化学療法 (Durvalumab + Tremelimumab + Denosumab) を継続している。【症例2】31歳、男性。無脾症、左室低形成、右室性単心室、両大血管右室起始、完全房室中隔欠損、肺動脈閉鎖に対して5歳時にFontan術を施行された。直近の心臓カテーテル検査は26歳時で CVP 12mmHg であった。現在 SpO2 88-90%である。消化器内科で定期フォローされていたが、腹部エコーで肝繊維化に加えて S3 に肝腫瘤を指摘され、精査のために肝生検や造影CTを施行された。検査結果からは過形成結節の可能性も考えられたが、新規病変の出現、AFP 高値などから悪性が否定できないと判断され、外科的肝切除を施行された。病理結果からは低分化型腺癌と診断された。肝部分切除1年8か月後に AFP 上昇、新規腫瘤病変出現を認め、ラジオ波焼却術を施行した。肝細胞癌に対する投薬はせずに経過観察されている。【考察】Fontan 術後遠隔期の合併症として、FALD は約半数に認められると報告されている。日本におけるFALD・肝細胞癌の頻度や予後についての報告は極めて少なく、今後、検査や治療方針に関しての症例蓄積が待たれる。