第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

カテーテル治療

ポスター発表(II-P01-1)
カテーテル治療4

2024年7月12日(金) 12:40 〜 13:40 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:小柳 喬幸(慶應義塾大学医学部小児科)

[II-P01-1-05] コドモックル開設から17年間におけるカテーテル治療の変遷

高室 基樹1, 名和 智裕1, 澤田 まどか1, 提島 丈雄1, 前田 昂大1, 夷岡 徳彦2, 浅井 英嗣2, 庭野 誠2, 親谷 佳祐3, 和田 励3, 春日 亜衣3 (1.北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科, 2.北海道立子ども総合医療・療育センター 小児心臓血管外科, 3.札幌医科大学 小児科学講座)

キーワード:カテーテル治療, pushable coil, PTA

【背景】先天性心疾患のカテーテル治療は先行手術の進歩やデバイスの進歩と市場からの退場により手技が変遷してきた.我々は2022年のJCIC学会で大動脈縮窄術後再狭窄に対する血管形成術(PTA)数が減少したことを報告した.【目的】当院開設から2023年までのカテーテル治療の変遷をまとめ,技術継承の参考とする.【対象】2007年から2023年に当院で行ったカテーテル治療667回.【方法】当院開設の2007年から2023年までを3年毎に6区間(AからF)に分け,術式(弁形成術PTV,血管形成術PTA,血管塞栓術EMB,短絡閉鎖術OC,心房中隔裂開術BAS),標的部位と先行手術の有無,使用デバイスの変遷を比較した.【結果】当院がASD,PDA閉鎖栓の認可を受けたB区間以降で治療内容の内訳に大きな差異はなかった.PTAの標的血管はB,C区間では大動脈が10%以上を占めていたが,E,F区間は1例もなかった.一方,肺動脈の占める割合は概ね70-80%で一定であった.また,E,F区間では動脈管に対するステント留置術と再拡大術が10-20%を占めた.これに伴いA-D区間で4-16%であった未手術部位のPTAに占める割合もE,F区間では20%以上であった.EMBではB区間のdetachable coilの導入後pushable coilの占める割合はA区間の100%からE区間で4%まで減少した.PDAにおけるFlipper coilの占める割合は全症例の40%であったがA区間100%から経年的に減少しF区間は6%であった.【考察】術式が洗練されたことで大動脈縮窄術後再狭窄に対するPTAはほぼ経験しなくなった.EMBではpushable coilの使用は激減したものの,手技初めのアンカリングや最後の“蓋”として使用することがあり絶滅していない.Flipper coilのように市場から姿を消すことが確定しているデバイスはともかくCPステントなど新規デバイス導入により再び必要となる大動脈再狭窄のPTA手技や,pushable coilなど経験機会が減少しても時に必要とされる手技の技術継承に工夫が必要と考える.