[II-P01-5-04] ファロー四徴症に対する右室流出路再建術 ~術後遠隔期の心臓MRIによる評価
キーワード:肺動脈弁閉鎖不全, 弁輪切開術, 右室拡大
【背景・目的】ファロー四徴症(TOF)右室流出路再建術(RVOTR)後の肺動脈弁閉鎖不全はその予後に影響する。心臓MRI(CMR)を用いてRVOTR術式による術後遠隔期の心室への影響の違いについて検討した。【対象・方法】対象はRVOTRを施行したTOFとその類縁疾患で、CMRで術後評価を行った65例。検査時年齢13~59歳(中央値27歳)、術後6~46年(中央値21年)。方法はCMR;肺動脈弁逆流率(%RF)、心室EDVI, ESVI, 心筋重量容積比(mass/V)。心エコー;TRPG。術式により弁輪温存群(n=17)、弁輪切開群(TAP; n= 36)、Rastelli群(n= 12; Yamagishi valved conduit 3, Carpentier-Edwards 3, Hancock 2, Xenomedica(弁無し)1, Gore-Tex graft(弁無し)1, Homograft1, valved pericardial roll 1 )に分けて三群間で比較検討した。解析ソフトはZiostation2を用いた。【結果】1)%RF;TAP群(41.2±12.3%)は弁輪温存群(24.2±13.3%, p<0.001)、Rastelli群(15.9±10.8%, p<0.001)に比し有意に高値。2)RVEDVI(ml/m2);TAP群(123.1±78.6)は弁輪温存群(113.6±37.8, ns)、Rastelli群(93.0±41.5, p<0.05)に比し高値。3)RVmass/V; Rastelli群(0.34±0.10)は弁輪温存群(0.27±0.05、p<0.05)に比し有意に高値、TAP群(0.32±0.07, ns)とは差なし。4)TRPG(mmHg); Rastelli群(63.4±24.3)は弁輪温存群(31.8±10.8, p<0.01)、TAP群(41.9±17.6, p<0.01)に比し高値を示した。【考察】TAPによるRVOTRは他の術式に比し弁逆流、右室拡大を来たす。一方Rastelli術では右室心筋重量は大きく、弁無しあるいは弁機能が失われた症例においても弁逆流率は比較的低く右室が拡大しにくい傾向にある。【結論】肺動脈弁輪切開は可及的に回避すべき術式と考える。