[II-P03-3-07] EBウイルス関連リンパ増殖症に心血管病変を合併した2例
キーワード:EBウイルス関連リンパ増殖症, 心嚢液貯留, 巨大冠動脈瘤
【はじめに】EBウイルスは稀にリンパ増殖症を引き起こし, 冠動脈瘤や心嚢液貯留などの心血管病変を合併することがあり予後不良である. EBウイルス関連リンパ増殖症(EBV-LPD)に心血管病変を合併した2例を報告する. 【症例1】20歳男性. 5歳時に右眼の腫脹を主訴に受診. 肝脾腫, 貧血を契機に慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)と診断. 冠動脈3枝とも拡張を認め(Seg1:9.0mm, Seg6:11.4mm), 抗凝固療法を開始. 冠動脈瘤の拡張は進行し右冠動脈内に血栓を認め血栓溶解療法を行った. 同種末梢血幹細胞移植を施行したが, CAEBVは再燃し6歳時に2回目の移植を施行. 8歳, 10歳時にも右冠動脈の血栓溶解療法を要したが, 15歳時に怠薬により右冠動脈完全閉塞による急性心筋梗塞を発症. 18歳頃より陳旧性心筋梗塞による僧帽弁逆流が中等度以上に増悪し心不全が悪化. 20歳時に僧帽弁形成術および冠動脈バイパス術を施行した. 【症例2】7歳男児. 結節性硬化症による難治性てんかんのため, 抗てんかん薬に加えて2歳からエベロリムスを開始. 6歳時発熱などの全身症状は無かったが心エコーで冠動脈の拡大あり. 冠動脈造影で3枝とも拡張(Seg1:8.0mm, Seg5:8.6mm, Seg6:10.7mm), 抗血小板薬, 抗凝固療法を開始した. 冠動脈拡張は進行し7歳時に心エコーでSeg1:17.3mm, Seg5:11.0mm, Seg6:13.1mmとなり, また著明な心嚢液貯留あり心嚢ドレナージ術施行. その際に血漿と心嚢液中のEBV-DNA copy数の異常高値が判明. エベロリムスを中止するも心嚢液も消失しないため, EBV-LPDとして化学療法を開始し現在治療継続中. 【結語】EBV-LPDに合併する心血管病変は, 根本的に原疾患に対する化学療法や造血幹細胞移植などの治療により病勢をコントロールしない限りその進行を抑える事は困難である. 遠隔期には冠動脈閉塞による心筋梗塞や弁膜症の合併による心不全悪化のリスクもあり, 多科での協力のもと長期にわたる全身管理を行うことが重要である.