[II-PSY3-8] 先天性気管狭窄を合併した先天性心疾患の治療戦略:小児循環器医の立場から
キーワード:先天性気管狭窄, 先天性心疾患, 治療戦略
【背景】スライド気管形成術(ST)適応となる先天性気管狭窄(CTS)に複雑な先天性心疾患(CHD)を合併した場合の治療戦略は定まっていない.
【目的】STを行ったCHD合併CTSの治療成績を総括した.
【方法】対象は当院でSTを行った全例.治療戦略グループ(G)をSTのみ0,CHD同時手術1,同一入院段階的手術(救急搬送含)2,別入院段階的手術3に分類.性,ST施行月齢,体重,生死,観察期間,気管最狭窄径/狭窄長率(DLR),片肺無低形成(U),気管気管支・三分岐・橋気管支,軟化症の有無,挿管・体外式膜型人工肺(ECMO)既往,CHD重症度(無0,単純1(短絡疾患,肺動脈スリング(PAS)),複雑2),体外循環時間,術後ECMO,縦隔炎,カテーテル治療(I)の有無について比較.χ2,Kruskal-Wallis,Kaplan-Meier,log-rank,Cox回帰検定を行いp<0.05を有意とした.
【結果】98(女42)例のうちG0/1/2/3各々29/48/10/11例.CHD合併80(82%)例のうちCHD1/2各々63/17例.PASが最多51(単独28,併存23)例,短絡疾患35,房室中隔欠損2,大動脈肺動脈窓1,大動脈縮窄4、Fallot四徴症6,単心室1,左心低形成1,三尖弁閉鎖1,純型肺動脈閉鎖1例.G0で男23/29(79%)と多かった.体重(kg)がG0で7.0±2.2と高くG2で4.7±1.2と低かった.PAS,軟化症がG1で各々41/48(85%),23/45(51%)と多かった.CHD1 はG1で45/48(94%),CHD2はG1/2/3で各々3/48(6%),5/10(50%),9/11(82%)を占めた.IはG1/2/3各々18/48(38%),4/10(40%),5/11(45%).周術期Iは体循環動脈管ステント1,右室流出路ステント2例.死亡率はG0/1/2/3各々3/29(10%),6/48(13%),5/10(50%),1/11(9%)とG2で高かった.5年生存率はG0/1/3各々89.1%,87.3%,87.5%と比較しG2で45.7%と低かった。Cox回帰で体重,ECMO既往,UでなくCHD重症度がハザード2.67で有意であった.
【結論】G2予後改善にはバランスの良い血行動態を目指した姑息術・カテーテル治療によるST術前状態の安定化をさらに追及する必要がある.
【目的】STを行ったCHD合併CTSの治療成績を総括した.
【方法】対象は当院でSTを行った全例.治療戦略グループ(G)をSTのみ0,CHD同時手術1,同一入院段階的手術(救急搬送含)2,別入院段階的手術3に分類.性,ST施行月齢,体重,生死,観察期間,気管最狭窄径/狭窄長率(DLR),片肺無低形成(U),気管気管支・三分岐・橋気管支,軟化症の有無,挿管・体外式膜型人工肺(ECMO)既往,CHD重症度(無0,単純1(短絡疾患,肺動脈スリング(PAS)),複雑2),体外循環時間,術後ECMO,縦隔炎,カテーテル治療(I)の有無について比較.χ2,Kruskal-Wallis,Kaplan-Meier,log-rank,Cox回帰検定を行いp<0.05を有意とした.
【結果】98(女42)例のうちG0/1/2/3各々29/48/10/11例.CHD合併80(82%)例のうちCHD1/2各々63/17例.PASが最多51(単独28,併存23)例,短絡疾患35,房室中隔欠損2,大動脈肺動脈窓1,大動脈縮窄4、Fallot四徴症6,単心室1,左心低形成1,三尖弁閉鎖1,純型肺動脈閉鎖1例.G0で男23/29(79%)と多かった.体重(kg)がG0で7.0±2.2と高くG2で4.7±1.2と低かった.PAS,軟化症がG1で各々41/48(85%),23/45(51%)と多かった.CHD1 はG1で45/48(94%),CHD2はG1/2/3で各々3/48(6%),5/10(50%),9/11(82%)を占めた.IはG1/2/3各々18/48(38%),4/10(40%),5/11(45%).周術期Iは体循環動脈管ステント1,右室流出路ステント2例.死亡率はG0/1/2/3各々3/29(10%),6/48(13%),5/10(50%),1/11(9%)とG2で高かった.5年生存率はG0/1/3各々89.1%,87.3%,87.5%と比較しG2で45.7%と低かった。Cox回帰で体重,ECMO既往,UでなくCHD重症度がハザード2.67で有意であった.
【結論】G2予後改善にはバランスの良い血行動態を目指した姑息術・カテーテル治療によるST術前状態の安定化をさらに追及する必要がある.