第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム6(II-SY6)
フォンタン患者遠隔期の管理・治療のControversy

2024年7月12日(金) 08:00 〜 09:30 第4会場 (4F 411+412)

座長:大内 秀雄(国立循環器病研究センター)
座長:島田 衣里子(東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

[II-SY6-1] 肺血管拡張薬:遠隔期でも必要?

白神 一博1, 先崎 秀明2,3 (1.東京大学小児科, 2.こども未来づくり総合サポートセンターちょこ, 3.日本医療科学大学)

中心肺動脈圧(CVP)を如何に低く、如何に長く保てるかは、FONTAN患者の最も重要な管理課題であると言えよう。肺血管抵抗はCVPを下げるためのいくつかあるターゲットの中でも重要な1つであり、薬物介入が可能なターゲットである。従って、FONTAN成立直後から少しでも肺血管抵抗を下げる努力をすべきであり肺血管拡張薬はその大きな助けとなる。しかしながら、FONTAN循環は幼児期から成人に向かうにつれ絞まった循環から開いた循環に移行し、ここには血管床自体の構造異常、機能異常を伴うと考えられる。従ってターゲット肺血管床の機能、構造がどの様であるかを吟味しながらの使用が必要であり、特に壮年期FONTANへの介入は正しい評価の上の慎重な介入が必要である。多くの場合、介入は功をもたらさない可能性がある。絞まった循環を小児期から、場合により青年期でも上手に開いて、不可逆な開ききった循環に移行しないよう管理したいものである。