[III-OR23-06] 心原性ショックに伴い院外心肺蘇生を要した症例の検討:循環器疾患未診断例の突然死・院外心肺停止を減らすには
キーワード:院外心肺停止, 心臓性突然死, 致死性循環器疾患
【背景】心臓性突然死(SCD)の原因検索は剖検未施行の場合臨床診断のみとなり詳細を知ることは難しい。当院は小児専門三次医療施設の特性上、心肺蘇生(CPR)成功後の院外心肺停止(CPA)例が少なからず受診する。これらの症例の検討はSCDの原因を知る一助となる可能性がある。
【目的】循環器疾患未診断の心原性ショック(CS)による院外CPA例の詳細を知り、SCD・院外CPAを減らす方策を検討すること。
【対象・方法】当院で診療したCPR成功後の院外CPA既往例のうち循環器疾患未診断CS11例について診療録を用いて後方視的に検討した。
【結果】全例が他院を経由。年齢中央値10歳(0-14歳)。内訳は、劇症型心筋炎1例、カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)5例、特発性心室細動1例、QT延長1例、肥大型心筋症1例、冠動脈走行異常2例。運動・興奮時発症10例。除細動器装着時波形は心室細動10例、心静止1例。bystander CPR施行10例は生存(神経学的後遺症合併1例(CPVT))、未施行1例(劇症型心筋炎)は死亡。CPVT2例で失神歴、冠動脈走行異常1例でめまい歴があったが、原因未特定。4例で致死性不整脈関連遺伝子異常を指摘。
【考察】本検討の生存率の高さは大半例がCPA後他院を経由し自己心拍再開していたことを反映していたと考える。失神・めまい既往例では運動時発症でも神経学的検索に留まり致死性循環器疾患を見逃されている報告が少なくなく、これらも念頭に置いた原因検索が望まれる。また多くの致死性循環器疾患で遺伝子異常が発見されその診断も普及しており、既診断例では次世代の発症前診断に寄与する可能性がある。運動時CPAをきたす致死性循環器疾患は運動強度の上がる年代での発症が目立つため、一般市民、特に教育現場やスポーツ関連分野でのこれらの疾患の啓蒙が必要である。2022年の報告では一般市民のCPA目撃時のCPR実施率は約60%、全体救命率は約10%に留まる。自動体外式除細動器設置を含めたCPRの更なる普及も望まれる。
【目的】循環器疾患未診断の心原性ショック(CS)による院外CPA例の詳細を知り、SCD・院外CPAを減らす方策を検討すること。
【対象・方法】当院で診療したCPR成功後の院外CPA既往例のうち循環器疾患未診断CS11例について診療録を用いて後方視的に検討した。
【結果】全例が他院を経由。年齢中央値10歳(0-14歳)。内訳は、劇症型心筋炎1例、カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)5例、特発性心室細動1例、QT延長1例、肥大型心筋症1例、冠動脈走行異常2例。運動・興奮時発症10例。除細動器装着時波形は心室細動10例、心静止1例。bystander CPR施行10例は生存(神経学的後遺症合併1例(CPVT))、未施行1例(劇症型心筋炎)は死亡。CPVT2例で失神歴、冠動脈走行異常1例でめまい歴があったが、原因未特定。4例で致死性不整脈関連遺伝子異常を指摘。
【考察】本検討の生存率の高さは大半例がCPA後他院を経由し自己心拍再開していたことを反映していたと考える。失神・めまい既往例では運動時発症でも神経学的検索に留まり致死性循環器疾患を見逃されている報告が少なくなく、これらも念頭に置いた原因検索が望まれる。また多くの致死性循環器疾患で遺伝子異常が発見されその診断も普及しており、既診断例では次世代の発症前診断に寄与する可能性がある。運動時CPAをきたす致死性循環器疾患は運動強度の上がる年代での発症が目立つため、一般市民、特に教育現場やスポーツ関連分野でのこれらの疾患の啓蒙が必要である。2022年の報告では一般市民のCPA目撃時のCPR実施率は約60%、全体救命率は約10%に留まる。自動体外式除細動器設置を含めたCPRの更なる普及も望まれる。