第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

成人先天性心疾患

ポスター発表(III-P02-3)
成人先天性心疾患2

2024年7月13日(土) 10:00 〜 10:50 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:安田 謙二(島根大学小児科/医療的ケア児支援センター)

[III-P02-3-02] Pulmonary valve replacementのリスク因子の検討

松沢 拓弥, 和田 直樹, 小森 悠矢, 桑原 優大, 高橋 幸宏 (榊原記念病院 心臓血管外科 小児)

キーワード:PVR, TPVI, TOF

【目的】近年Transcatheter pulmonary valve implantation (TPVI) の普及に伴い、Pulmonary valve replacement (PVR)とTPVIを患者のlife styleと手術リスクを考慮に入れた治療プランを選択する必要がある。当院で施行したPVRのデータから再度リスク因子を検討する。【対象】2004年1月から2023年12月までに当院でPVRを施行した122例【結果】手術時年齢中央値35.8歳(6.2-62.7),体重中央値 56.7kg(18.3-147.9)。背景疾患はTOF 88例(72.1%), TGA 10例(8.2%).生体弁120例(98.4%),機械弁2例(1.6%).同時手術は86例(70.5%)で行い,三尖弁関連 47例(38.5%)が最多であった.前回手術はTrans annular patch 65例(53.3%),valve sparing 24例(19.7%),valved conduit 18例(14.8%),PVR 8例(6.6%).IEは6例.Follow up中央値 2.1年(0.1-12.5).再手術5例で再手術回避率は1年97.7%, 5年93.2%, 10年79.9%. 死亡5例で生存率1年 96.9%, 5年 95.2%, 10年 84.6%.PVRの高リスク群として挙げられている再開胸回数≧3回,LVEF≦45%,RVEF≦45%,RVESVI>95ml/m2,年齢≧45歳など再手術や死亡のリスクとして有意差はなし.入院期間に関しては再開胸回数≧3回のみ有意なリスクであった(p<0.001).術前Child-pugh分類 B以上の肝障害は入院期間延長のリスク因子であった(p<0.001).年齢に関しては55歳以上でも有意なリスク因子ではなかった(p=0.503).【考察】再開胸回数,LVEF≦45%,RVEF≦45%,RVESVI>95ml/m2,年齢≧45歳などは本研究ではリスク因子としての統計的有意差は認めなかった.また右心不全に伴う肝障害は入院期間を延長するリスク因子であることがわかった.【結論】過去の報告でリスク因子として挙げられていたものでも本研究では統計的に有意ではないものがあった.一方,肝障害は入院期間を延長するようなリスクとなることわかった.これらを考慮に入れ,患者のlife time managementを再検討していく必要がある.