16:35 〜 17:15
[スポーツ文化-SA-3] アダプテッド体育・スポーツがSDGsに果たす役割について
<演者略歴>
筑波大学体育系准教授。筑波大学大学院修士課程体育学専攻修了後、横浜市北部地域療育センターで障害児の療育に携わっていた。その後東北大学大学院博士課程に編入学、修了。文京学院大学を経て、現職に至る。専門はアダプテッド体育・スポーツで、特に発達障害児の運動発達支援、インクルーシブ体育の実践に詳しい。
筑波大学体育系准教授。筑波大学大学院修士課程体育学専攻修了後、横浜市北部地域療育センターで障害児の療育に携わっていた。その後東北大学大学院博士課程に編入学、修了。文京学院大学を経て、現職に至る。専門はアダプテッド体育・スポーツで、特に発達障害児の運動発達支援、インクルーシブ体育の実践に詳しい。
私が専門とするアダプテッド体育・スポーツ領域が、SDGsが掲げる目標に貢献できる可能性として、2つの面があると考えている。ひとつは、本研究領域はそもそも障害のある者に対して、運動やスポーツ、体育機会を保障すべき、アドボカシーとして機能を果たしてきた。そのため、本領域の研究・実践の充実を図ることは、SDGsの目標3(保健)や目標4(教育)に加え、目標8(成長・雇用)や目標10(不平等)、目標11(都市)の達成に寄与する可能性がある。加えて本研究領域は、障害のある者への体育・スポーツ指導からの帰納的枠組みとして、「その人に合わせて」スポーツや体育を変更し運動のもつ本来的な楽しさを享受できる方法論(Adaptationアダプテッド)を確立してきた。そしてアダプテッドは、対象を障害だけにとどめず、体育・スポーツ場面から排除されている人たちを包摂する手段として活用されるようになった。こうした実践・研究は、先にあげた目標のなかの対象を拡充することに貢献するだろう。しかしアダプテッドに関する我が国の体育・スポーツ実践には、いまだ多くの課題が残されている。その解決のためには、本研究領域にとじない複合的な視点からの議論が求められることになる。