日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー04] 物体の運動予測課題における錯覚量の性差

大学生を対象として

〇山﨑 紀春1、永田 直也2、戸枝 美咲5、新井 健之3、竹市 勝4 (1.日本大学、2.慶應義塾大学、3.高千穂大学、4.国士舘大学、5.日本女子大学)

【はじめに】
バスケットボールのような投球やゴルフのような打球を伴うスポーツでは、パフォーマンス向上のために投球や打球の前にボール運動を予測し、到達位置の予測を行う必要があり、その予測に合わせた運動制御の実施が不可欠である。これまではバスケットボールのシュートやゴルフパッティングにおける物体の運動予測特性について検討を行ってきた。しかし、バスケットボールのシュートでは女子のみ、ゴルフのパッティングでは男子のみの検討であった。そこで本研究では、大学生を対象に男女のデータを比較し、物体の運動予測特性(物体の運動予測課題における錯覚量)について性差を検討したので報告する。
【方法】
被験者は大学生27名(男子20名、女子7名)とし、自作のバーチャルリアリティ環境で実験した。画面に提示した画像は以下の通りである。運動物体(ボール)は、画面の左端から右方向へ等速で水平移動した。画面中央から左側に目盛の付いた長方形エリア(板)を設置し、ボールは板の左端から板に隠れるように移動させ、認知・予測時間(ボールが板左端通過後から板変色までの時間)後に板を変色(視覚刺激)させた。被験者は視覚刺激提示時刻のボールの位置を目盛にて回答(回答位置)した。認知・予測時間は200,400,600,800,1000msの5段階でランダムに提示し、20試行実施した。横軸に認知・予測時間、縦軸に板左端からのボールの移動距離をとり、回答位置のプロットから回帰直線を求め、傾き(距離/時間)を被験者が予測した認知・予測時間中の運動物体速度(予測速度)とした。そして縦軸との切片を視覚刺激提示による進行方向への位置錯覚量とした。
【考察】
予測速度と切片の性差を比較した結果、切片に有意差(p<0.05)が認められたことから、男子の方が女子よりも視覚刺激提示時刻の進行方向への位置錯覚量が大きいことが示唆された。