[03 心ーポー08] 小学6年生における運動物体の認知・予測特性の性差
序章:球技スポーツにおいて物体の運動を認知・予測することは、ボール捕捉のために重要なスキルである。これまで大学生(18歳)以上を対象に運動物体に対する認知・予測特性を検討してきた。小学生の高学年では、神経系の発達がほぼ完成を迎える時期であり、その時期における運動物体の認知・予測特性についての研究は少ない。そこで、本研究では、小学6年生を対象に男女のデータを比較し、発育過程における運動物体の認知・予測特性について性差を検討したので報告する。
方法:被験者は、小学6年生26名(男子11名、女子15名)とした。自作プログラムの画像を提示した。提示画像は以下の通りである。運動物体(ボール)は、画面の左端から右方向へ等速で水平移動した。画面中央から左側に目盛の付いた長方形エリア(板)を設置し、ボールは板の前方(可視条件)または後方(遮蔽条件)を移動させ、認知・予測時間(ボールが板左端通過後から板変色までの時間)後に板を変色(視覚刺激)させた。被験者は、視覚刺激提示時刻のボールの位置を目盛にて回答(回答位置)した。認知・予測時間は、
200,400,600,800,1000msの5段階でランダムに提示した。遮蔽条件20試行、可視条件20試行の順番で実施した。
横軸に認知・予測時間、縦軸に板左端からのボールの移動距離をとり、回答位置のプロットから回帰直線を求め、傾き(距離/時間)を被験者が認知(可視条件)もしくは予測(遮蔽条件)した認知・予測時間中の運動物体速度(認知速度・予測速度)とした。そして縦軸との切片を、視覚刺激提示による進行方向への位置錯覚量とした。
考察:認知速度・予測速度と切片の性差を比較した結果、可視条件では有意差はなかった。しかし、遮蔽条件において切片に有意差(p<0.05)が認められた。男子の方が女子よりも視覚刺激提示時刻の進行方向への位置錯覚量が大きいことが示唆された。
方法:被験者は、小学6年生26名(男子11名、女子15名)とした。自作プログラムの画像を提示した。提示画像は以下の通りである。運動物体(ボール)は、画面の左端から右方向へ等速で水平移動した。画面中央から左側に目盛の付いた長方形エリア(板)を設置し、ボールは板の前方(可視条件)または後方(遮蔽条件)を移動させ、認知・予測時間(ボールが板左端通過後から板変色までの時間)後に板を変色(視覚刺激)させた。被験者は、視覚刺激提示時刻のボールの位置を目盛にて回答(回答位置)した。認知・予測時間は、
200,400,600,800,1000msの5段階でランダムに提示した。遮蔽条件20試行、可視条件20試行の順番で実施した。
横軸に認知・予測時間、縦軸に板左端からのボールの移動距離をとり、回答位置のプロットから回帰直線を求め、傾き(距離/時間)を被験者が認知(可視条件)もしくは予測(遮蔽条件)した認知・予測時間中の運動物体速度(認知速度・予測速度)とした。そして縦軸との切片を、視覚刺激提示による進行方向への位置錯覚量とした。
考察:認知速度・予測速度と切片の性差を比較した結果、可視条件では有意差はなかった。しかし、遮蔽条件において切片に有意差(p<0.05)が認められた。男子の方が女子よりも視覚刺激提示時刻の進行方向への位置錯覚量が大きいことが示唆された。