日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー12] VR環境下における空手道選手の情報処理能力の検討

〇坂部 崇政1、高井 秀明1 (1.日本体育大学)

本研究の目的は、突き技のVR映像を用いて空手道選手の情報処理能力について検討することであった。実験参加者は、空手道の競技経験の有無により2群に設定した。熟練群は、A大学空手道部に所属する男性6名であり、非熟練群は、A大学に所属する空手道の競技経験がない男性4名、女性2名の計6名であった。実験参加者の課題は、ヘッドマウントディスプレイから呈示される映像が、上段突きならPC用キーボードの「J」のキー押し、中段突きなら「F」のキー押しで反応することであった。実験終了後には、視覚的アナログ目盛り法を用いて、立体感、速度感、違和感、没入感、課題難易度の5項目を評価させた。また、正答率および反応時間を算出した。その結果、没入感、立体感、違和感の項目において群間で有意差はみられず、VR映像への感じ方(印象)は熟練度によって影響しないことが示された。一方で、速度感の項目では非熟練群が熟練群よりも有意に高値を示した。この結果については、速度感が突き技そのものに対する評価項目であるため、競技経験の有無による違いが顕著にみられたものと推察される。課題難易度および正答率には群間で有意差がみられなかった。正答率は、両群とも約90%であったことから、VR環境下においても正確な判断ができていたといえる。しかしながら、反応時間には有意差がみられ、熟練群は非熟練群よりも早い段階で突き技に反応していることが明らかとなった。このことから、熟練群は突き技の判断に必要な視覚的手がかりを早期に抽出していたものと考えられる。この結果は、空手道選手の脳内情報処理過程を検討した坂部(2020)の知見を支持するものであり、熟練群の中枢情報処理能力の高さが反応時間に反映されたものと推察される。以上のことから、VR環境下においても熟練群は正確かつ素早く反応できることが示された。