日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育科教育学 ポスター発表

[11 教ーポー14] 保健体育科教員養成における指導と評価の一体化を図るためのデジタル教材の開発

実態調査による検討

〇山田 稔1、福地 真一2 (1.玉川大学、2.神奈川県立総合教育センター)

本研究は、「保健体育科教員養成における指導と評価の一体化を図るためのデジタル教材(単元計画表)の開発」(山田、2020)の継続研究である。前回の報告では、デジタル教材(単元計画表をMicrosoft Excelを使用して設計)の開発に至った経緯や試作版の内容と操作手順及びその教育的価値、成果の検証方法について記した。本研究では、デジタル教材を使用した受講生から、その効果に関する評価と、単元計画表(球技・水泳・体育理論・保健)の作成過程における課題を調査・分析することを目的とした。その結果、効果に関する評価では、多くの項目で、肯定的な結果が見られた。また、設問間の相関において、有意に相関が見られた項目があった。また、単元計画表の作成過程における課題では、調査した10項目の平均得点からは、高い得点から順に、体育理論、保健、水泳、球技の結果となった。特に球技は三つの型(ゴール・ネット・ベースボール)に分かれ、それぞれの型に種目(サッカー・バレーボール・ソフトボール等)があるため、複雑で理解をするのが難しかったと思われる。このことから、受講生への指導は、段階的に習熟を深めるよう教材の配列に配慮しながら行うことが必要であることが示唆された。国立教育政策研究所では、これまで1時間単位の授業の中で行われることの多かった学習評価を、スパンを長くして単元や題材のまとまりとしての評価として行うことを求めている。1時間単位の完結した学びから時間をかけながら学んだことを学びの文脈として捉えることで、学習のつながりを図ろうとすることが求められている。これまで指導案作成というと、様式の体裁や評価規準の文末表現を整えることに重きが置かれ、授業の中身に力が注がれていなかったのではないか。その課題を、デジタル化と可視化により、全体像の把握が容易になったことにこそ本デジタル教材の可能性があろう。