The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

Presentation information

Poster (Subdiscipline)

専門領域別 » Biomechanics

バイオメカニクス ポスター発表

[05 バーポー11] スキージャンプ踏切動作において空気力が身体重心速度に与える影響

〇kaoru yamanobe1, koshi suzuki1, keita akashi2 (1.Japan Institute of Sports Sciences, 2.International Pacific University)

【背景】スキージャンプの踏み切り動作においてジャンプ台を飛び出す際の身体重心の上昇速度が大きいことは、その後の飛行局面に影響を与え、飛距離の増大につながることが実際の競技場面を対象とした実験研究およびコンピュータシミュレーションによる理論的研究によって示されてきた。一方で、踏み切り動作に伴う姿勢変化、すなわちクローチング姿勢とよばれる助走姿勢から、股関節および膝関節を伸展させた踏み切り動作終了までの姿勢変化は、選手の投射面積を増大させるため選手に作用する空気力(抗力および揚力)を増大させることが報告されてきた。これらの空気力は身体重心速度に対して、抗力は進行方向速度を減速する作用を持ち、揚力は身体重心を上昇させる方向に加速する作用をそれぞれ持つ。本研究では熟練したジャンプ選手を対象として、風洞実験室におけるシミュレーションジャンプの際に作用する空気力が身体重心速度にどの程度の影響を与えているのか明らかにすることを目的とした。

【方法】スキージャンプ選手を対象に、風洞実験室において無風時および有風環境下(25 m/s)で踏切動作を実施させ、高速度ビデオ映像を用いた2次元画像分析と風洞内に埋設した6分力計による反力測定を行った。画像分析による身体重心加速度と反力由来の加速度の差分を空気力による加速度として抽出し、身体重心速度獲得に与える影響を検討した。

【結果および考察】無風時と有風時(25 m/s)との比較から、有風時は無風時に比べて反力が減少していることがわかった。一方で有風時に明確な上昇速度の減少が見られなかったことから、このような反力の減少は揚力の作用として補助的に身体重心の上昇速度獲得に貢献しているものと考えられる。