日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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バイオメカニクス ポスター発表

[05 バーポー14] バスケットボールショットにおけるショット距離の増減がリリース速度およびリリース角度に及ぼす影響

〇鈴木 崚太1、前田 正登2 (1.神戸大学大学院、2.神戸大学)

バスケットボールのショットにおいてショット位置からリングの中心までの距離とリリースコンディションの関係について検討した。被験者は、大学バスケットボール部に所属する男子選手8名とした。リングの中心から3.75m、4.75m、5.75m、6.25m、6.75m(3ポイントライン)、7.25m、7.75m離れた位置から1本ずつ計7本を1セットとして50セット、合計350本のショットを行わせた。被験者がショット動作を開始した時点からリリースされたボールがリングを通過もしくは接触するまでのボールについて、完全に同期した2台の高速度ビデオカメラを用いて撮影した(120fps)。撮影された映像より、ショット位置とリリースコンディションの関係について分析した。その結果、全ての被験者でいずれの設定距離においてもリリース速度の変動係数よりもリリース角度の変動係数が有意に大きい値を示した。被験者にとっては、ショットを放つ位置に対してリリース速度の調節よりもリリース角度の調節の方がより困難であると推察された。また、いずれの被験者もショット距離の増加に伴いリリース速度も有意に増加し、その増加は単調な傾向を示したが、リリース角度は減少する傾向を示した。被験者によって違いはあるが、ショット距離が増加してもリリース角度の減少がみられなくなるショット距離があり、その距離以遠では被験者に共通する変化は見られなかった。Brancazio(1981)を参考に算出した最適リリース角度とそれぞれの設定距離における成功試技の平均リリース角度を比較すると、4名の被験者は設定距離の増大に伴うリリース角度の減少パターンはほぼ一致しており、別の2名は一致しないものの同様な減少パターンであった。被験者によって違いはあるが、最適リリース角度と成功試技の平均リリース角度との差が顕著に大きくなる距離があることが示された。