日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育経営管理 ポスター発表

[06 経ーポー03] スコーピング研究を用いた日本の大学スポーツが抱える課題の特定

〇笠原 春香1、山田 晋三1、ラクワール ランディープ1、松尾 博一1 (1.筑波大学)

日本国内での大学スポーツ振興に対する関心は、ここ数年で急激に高まっている。大学スポーツの振興は、日本再興戦略2016においてスポーツ市場規模の開拓施策の一つとして掲げられ、更に第二期スポーツ基本計画において具体的な計画が示されたことで、国の政策の一つとして明確に位置づけられた。その中で、計画目標の一つである大学内におけるスポーツ分野を統括する部局の設置とアドミニストレーター配置の促進等が行われているものの、未だ大学スポーツは多くの課題を抱えている。それらの課題の多くは、大学の運動部活動が課外活動に位置付けられていることに起因するものとして大学スポーツに関する検討会議最終とりまとめにおいて言及されているが、現状として大学スポーツの課題を網羅的に把握した研究はみられず、実際にどのような課題が存在しているのかということについて共通の理解が得られていない。そこで本研究では、スコーピング研究を用いて、日本国内で発表された研究論文や紀要などの文献を包括的にレビューすることによって、現在日本で議論されている日本の大学スポーツにおける課題を特定し、網羅的に把握することを目的として研究を行った。その結果、日本の大学スポーツにおける課題に焦点を当てた38件の研究を特定することができた。頻度分析の結果では、査読付きジャーナルに掲載された研究はわずか2件に留まったものの、その文献数は近年上昇傾向にあることが分かった。また、テーマ分析の結果、研究から特定された課題は10項目に分類できることが明らかとなった。その上で、テーマ分析で分類された課題に基づき、各々の因果関係や属性を示すフレームワークを作成した。さらに、10項目の課題のうち「大学における大学スポーツの定義」はその他の課題との関連が大きく、この課題に取り組むことがその他の課題の解決にも資する可能性があるという点で、特に重要な課題と考えられる。