[07 発-ポー01] 幼児における開脚跳び動作の習得過程に関する縦断的研究
身体の発達が著しい幼児期に基本的な運動技能を習得しておくことは、その後の運動技能の習得や生涯の運動習慣の基礎ともなるため極めて重要である。保育現場で用いられる教材の1つに助走、踏切、支持が組み合わされた運動である跳び箱遊び(開脚跳び)がある。幼児期は特に、動きのタイミングや力の加減をコントロールするといった運動を調整する能力が顕著に向上することから、開脚跳びはこのような時期に経験することが望ましい。しかし、近年では運動経験や習得している運動技能がこどもによって様々なため、開脚跳びを習得する過程は一様ではないと考えられる。したがって、それぞれのこどもが開脚跳び動作を習得していく過程を縦断的に調査することは、動作習得メカニズムを理解することに役立つと考えられる。そこで本研究では、4歳児クラスを対象に3か月間の体操教室を実施し、実施前後の開脚跳び動作を比較することで、その変化を明らかにすることを目的とした。対象者は、体操教室開始時に開脚跳びを習得できていなかった男児1名とした(月齢:4歳6か月、身長:1.16m、体重:21.5 kg)。対象者は2週間に1回程度、1回40分の体操教室に参加し、跳び箱に関する運動遊びや開脚跳びを行った。対象者には体操教室実施前後に開脚跳び(3段)を5回ずつ行わせ、その動作をデジタルビデオカメラで側方から撮影した(60 Hz)。撮影した画像をもとに動作解析ソフト(Frame-DIAS Ⅳ)を用いて、身体分析点の2次元座標値を求めた。得られた座標値から重心速度や下肢関節角度などを算出し、体操教室実施前後で比較した。開脚跳び5試技中の成功試技は、体操教室実施前で0回であったのに対して、実施後では3回であった。本研究の対象者では、体操教室実施後に踏切接地時の下向きの重心速度が大きく、水平速度が小さく、支持期中の重心高が高くなるといった変化がみられた。