日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー15] テニスにおける世界の男子トッププロ選手と学生選手でのブレイクポイントを握られた際の戦術比較

〇木俣 健1、窪田 辰政2、神藤 隆志3、三橋 大輔3 (1.筑波大学大学院、2.静岡県立大学、3.筑波大学)

 本研究の目的はテニスにおける世界の男子トッププロ選手(以下:上位群)と学生選手(以下:下位群)を対象に、サービスゲーム中のブレイクポイントをセーブした時の1stサーブの確率、ポイントの終わり方、ラリー数を比較しトッププロ選手の戦術選択を明らかにすることで、サービスゲームのキープ率向上に関する戦術指導の有益な情報を得ることであった。
 対象として、上位群をATPランキングが15位以内の選手20名が出場した男子プロテニス協会主催の大会14試合(2018年~2020年)の中から100ポイント、下位群を関東学生テニス連盟が主催する3つの主要な個人戦において本戦出場経験のない選手21名が行った学生の公式戦、対外試合や部内戦(2019年~2020年)の中から127ポイントを抽出した。さらにサーブの確率、ポイントの終わり方(Unforced Error、以下UE:自らに原因のあるエラー、Forced Error、以下FE:相手の良いショットに原因のあるエラー、Winner、以下W:ノータッチエース)、ラリー数の3項目に関して分析を行った。統計処理として、それぞれの結果についてχ2検定を行い、有意差の見られたデータは残差分析を行った。有意水準は5%未満とした。
 結果として、1stサーブの確率は上位群が有意に低かった(p<0.05)ことに加え、1stサーブが入った場合のポイントの終わり方については、上位群のFEの割合が有意に高かった(p<0.05)。これらより上位群は1stサービスにおいて、多少確率を下げてでも主導権を握り、相手からFEを引き出していることが考えられる。さらに上位群は、ポイントが終了するまでのラリー数が短い場合(5球以下)においてもFEの割合が高いことから(p<0.05)、上位群は1stサービスの確率が下がるリスクを冒してでもサーブを始めとする攻撃的な戦術選択を行っていると推察される。