日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー17] バレーボールの一流セッターの実践知に関する研究

〇五十嵐 元1、中田 学1、青木 和浩1 (1.順天堂大学)

本研究の目的はバレーボールにおける我が国のセッター育成に寄与する知見を実践現場に提供することである。セッターのトスは、アタックパフォーマンスに大きく影響を及ぼす重要なものである。また、卓越したセッターのトスに関する実践知は、勝敗や現場での指導に大きく寄与することから解明が望まれる。しかし、一流セッターのトスに関する実践知は、暗黙的で特定や数量化が難しく解明が不十分である。そこで本研究は、国内の一流セッターが持つトスに関する実践知を語りにより収集し、収集した語りの内容を分析した。
初めに研究対象者に本研究の趣旨を十分に説明し、調査への協力を依頼し承諾を得た。また、アンケート調査票を研究対象者に実施してもらいインタビューを行う際の資料とした。アンケート調査票への回答が済んだ研究対象者と、1回1時間程度のインタビューを実施した。インタビューは、半構造化インタビューを用いて、トスに関するインタビューを行った。語りで伝えにくい内容は、身振り手振りなどを用いて表現することを依頼した。さらに、インタビューを録画し、保存したインタビュー内容を逐語録として全て文字に起こした。次に、内容を深く理解するため逐語録を熟読し、意味や内容に変化がないよう留意しながら補足を付け加えた。研究協力者に内容が恣意的に操作されていないかを確認してもらい、信頼性と妥当性を高めた。作成したテクストを研究対象者に送付し、内容に訂正や齟齬がないこと、解釈が適合していることを確認した。
当日のポスター発表では、データの一部を用いる。これまでオーバーハンドパスやトスの基本とされてきた動きと、本研究で明らかとなる実践知を比較など、多角的な視点で検討したい。また、今後は質的方法で明らかとなった一流セッターのトスに関する実践知の定量的分析の可能性について検討したい。