[09 方ーポー55] バスケットボールの試合中におけるドライブ動作の分析
バスケットボールでは、空間に設置されたゴールに近づくことが重要であり、その手段の一つとしてドライブ動作がある。実験的条件でドライブ動作を検討したものがあるが、試合中のドライブ動作をみたものはあまりないようである。そこで本研究では、大学男子バスケットボール選手の試合中におけるドライブ動作をDLT法により三次元分析し、ドライブ動作の指導に役立つ基礎的知見を得ることを目的とした。大学定期戦の試合(2021年4月)に出場した大学男子選手のドライブ動作を3台のビデオカメラを用いて撮影し、三次元DLT法を用いて身体計測点23点およびボール1点の座標値を得た。得られた座標値から両肩水平回転角度、身体重心移動距離、速度などを算出した。1歩目接地時の身体重心の水平速度は、実験条件の場合(土肥ら, 2017, 2.96±0.3m/s )よりも試合中(3.53±0.90m/s, n=3)の方が大きかった。これは、試合ではディフェンスを突破するために、より速いドライブ動作を行っていたことを示している。また、両肩水平回転角度からみた肩の切り替えし時点と重心方向変換の時点の関係に着目すると、前者が後者に先行する場合とその逆のパターンがみられた。これらのことから、より効果的なドライブ動作とその指導法を明らかにするには、試合中のドライブ動作を検討することが役立つと考えられる。