日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題B】保健体育授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題B】口頭発表①

2021年9月8日(水) 09:00 〜 10:05 会場10 (Zoom)

座長:細越 淳二(国士舘大学)

09:15 〜 09:30

[学校保健体育-B-02] 保健体育の評価

大学生による考察

*森田 啓1、中島 早苗2、河鰭 真世3、高橋 浩二4、佐藤 和5、小谷 恭子6、河鰭 一彦7 (1. 大阪体育大学、2. 共立女子短期大学、3. 日本体育大学大学院、4. 長崎大学、5. 千葉工業大学、6. 帝塚山学院大学、7. 関西学院大学)

 本研究は、小中高校の保健体育の目標・内容・評価について、大学生が考え、討論した内容について考察する。大学生に保健体育を振り返らせる意義だが、高校卒業から時間が経っていないことから、保健体育について覚えていることが多いと推察できる。さらに体育・スポーツの専門の学生には、体育科教育とスポーツ教育の違いの理解、それ以外の専門の学生には保健体育と大学体育の共通点と相違点について理解する機会としても効果的と考えられる。初等・中等教育で学習したことが直接将来に生きることはなくても、また必ずしも生きる必要もないが、受講者(児童・生徒)がどう感じ、評価するかについても目を向ける必要があろう。特に体育・スポーツ・健康を専門にする本学会においては、体育が苦手、嫌いだった生徒に目を向ける必要があろう。
 学校体育の問題点については多くの指摘がある。体育によるいじめやその後の社会生活への負の影響についての指摘(Chad Jensen)、経済格差による運動機会や運動アクセスへの格差拡大、運動が苦手な児童・生徒にとっては公開処刑との声、施設を学校が占有することによる生涯スポーツの妨害や自発的な身体活動機会の剥奪、運動部活動の弊害としてはバーンアウト、モチベーション低下、多様性の否定などがあげられる。
 近年は課題解決・探究学習、アクティブラーニングの導入が進められているが、大学生はこれらの問題について調査、討論、考察することができるし、保健体育は興味を引くテーマと考えられる。大学生の教育活動にとどまらず、体育・スポーツ界への提言、示唆となることも期待できよう。